ファブリー病の症状
どの患者さんにもすべての症状が必ず出るとは限りません。また症状の出方や時期についても個人差があります。
神経の症状
四肢疼痛(ししとうつう)
手足に強く、焼けるような急激な痛みが生じ、数分から数時間持続します。毎日起こることもあり、発熱を伴う場合もあります。
また、持続的は感覚異常(鈍くなる・しびれる・チクチクする)も起こることがあります。
これらの痛みはストレスや気温・体温の変化、疲労などでしばしば引き起こされます。
症状は幼・小児期より出現することが多いです。

聴覚低下
耳の神経が障害をうけ、耳が聞こえにくい、耳鳴りがするなどの症状が現れます。
眼の症状
角膜混濁(かくまくこんだく)
角膜に渦巻き状の混濁が確認されます。症状は幼児期より出現することが多く、一般的に視力には影響がないと言われています。
他に、結膜、網膜の血管病変、水晶体の混濁などが認められます。
皮膚の症状
被角血管腫(ひかくけっかんしゅ)
赤紫色の発疹が胸から膝まで、特にお腹、おしり、陰部などに出現します。
痛みやかゆみはありません。小児期より出現することが多いです。

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低・無汗症
発汗機能が障害されるため、皮膚が乾燥し、暑くても汗をかきにくくなります。
また、体温調節ができなくなるため、真夏の炎天下のような環境ではうつ熱(体内に熱がこもること)発作や立ちくらみ、さらには便秘、下痢、吐き気などがみられるようになります。
幼児期より出現することが多いです。

消化器の症状
胃腸障害
食後に腹痛や下痢、吐き気、嘔吐などが現れます。
小児・青年期より出現し、年齢とともに悪化することがあります。
腎臓の症状
腎機能障害
尿中にタンパクが漏れ出てきて、その後腎不全にまで至ることがあります。重篤な臓器障害のひとつです。
思春期・青年期以降に出現することが多いです。
心臓の症状
心機能能障害
心肥大や心筋梗塞、弁膜の異常、不整脈などが現れます。腎不全と同様に重篤な臓器障害のひとつです。
青年期以降に出現することが多いです。
脳の症状
脳血管障害
脳梗塞や脳出血を起こし、記憶障害や運動麻痺をきたす場合があります。
中年期以降に出現することが多いです。
精神の症状
精神障害
病気や症状のストレスなどから、うつ症状やQOL(生活の質)の低下などがみられることがあります。
監修:名古屋セントラル病院 ライソゾーム病センター・血液内科
センター長 坪井一哉