肝臓病のかゆみの原因
監修 虎の門病院 肝臓センター 熊田 博光先生
肝臓病のかゆみは、体の中の“オピオイド”と呼ばれるモルヒネに似た物質が関係していると考えられています。
肝臓病のかゆみの原因は、“オピオイド”バランスの崩れ
オピオイドには複数の種類があり、そのうちかゆみに関係しているものは、かゆみを引き起こす「ベータエンドルフィン」とかゆみをおさえる「ダイノルフィン」です。
通常はこの「ベータエンドルフィン」と「ダイノルフィン」がバランスを保っているため、かゆみが生じませんが、体の中でかゆみを引き起こす「ベータエンドルフィン」が増えると、かゆみを引き起こすと考えられています。
かゆみのある肝臓病の患者さんとかゆみのない肝臓病の患者さんを比較した調査では、かゆみを引き起こす「ベータエンドルフィン」や「エンドモルフィン-1」などのオピオイドが、かゆみのある肝臓病の患者さんで多かったとの結果が得られています
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オピオイドが引き起こす肝臓病のかゆみは、お薬が効きにくく、全身にあらわれる
オピオイドによって引き起こされる肝臓病のかゆみは、皮膚の異常を原因とするかゆみと違い、体の中の物質によって脳が直接刺激され感じるかゆみのため、全身にかゆみがあらわれる、かいても治まらない、抗ヒスタミン薬などの一般的なかゆみ止めが効きにくいなどの特徴があります。
1)川島 由美: 帝京医学雑誌 28:89, 2005から引用