パーキンソン病の症状
監修 村田美穂先生
パーキンソン病の症状は、運動症状と非運動症状に分けられています。運動症状では、パーキンソン病の四大症状と呼ばれる、①ふるえ(安静時振戦)、②動作が遅くなったり少なくなったりする(動作緩慢・無動)、③筋肉のこわばり(筋強剛)、④バランスの変化に対応しにくくなる(姿勢反射障害)が主です。
このほか「すり足になる」「歩く時ほとんど手を振らない」「一歩目がなかなか踏み出せない」などの特徴的な歩き方が現れることもあります。
一方、体の動きと関連しない症状を非運動症状と呼び、自律神経症状、感覚障害、精神症状、睡眠障害など、さまざまな症状があります。自律神経症状には、便秘や、立ち上がる時に血圧が低くなることで立ちくらみや失神を起こす起立性低血圧がみられます。また、感覚障害としては、においが分かりづらくなる嗅覚障害が知られています。その他にも、不安や抑うつなどの精神症状、不眠や夜に何度も目が覚めてしまう中途覚醒などの睡眠障害があります。
パーキンソン病では、これらの症状がすべて出現するわけではなく、症状の強さも人それぞれという特徴があります。
パーキンソン病の四大症状
安静時振戦
手、足、あごなどのふるえ
筋強剛
検査者が患者の関節を動かすと抵抗がある
動作緩慢・無動
動作が遅くなり、少なくなる
姿勢反射障害
体のバランスが悪く、倒れやすくなる
岡本智子:パーキンソン病とは. 村田美穂編著. やさしいパーキンソン病の自己管理 改訂版. 医薬ジャーナル社, 東京, p11, 2012
パーキンソン病の非運動症状
便秘
- 胃腸の動きが低下し、便秘になりやすい
- パーキンソン病患者の80%程度が悩んでいる
排尿障害
- トイレが近い
- 夜中に何度もトイレに行きたくなる
睡眠障害
- 夜中に起きてしまう
- 昼間にとても眠くなる
- 横になると足がムズムズする
抑うつ
- なんとなくやる気がしない
- 不安感が強くなる
- 関心や意欲の低下
起立性低血圧
- 立ち上がったときに「立ちくらみ」がする
- ひどい場合は一瞬意識を失い、倒れてしまう
血圧を一定に保とうとする自律神経の動きが障害されるために起こる
村田美穂監修:スーパー図解パーキンソン病. 法研, 東京, p31, 2014