患者さんからのよくあるお悩み・質問|食事・栄養の工夫

患者さんからのよくあるお悩み・質問

監修:有限会社山富・ませ調剤薬局 代表取締役/薬剤師 間瀬 定政 先生

パーキンソン病には、特別な食事療法があるわけではありません。「飲み込み」がしづらいような食品や食事には気をつける必要がありますが、食べてはいけないものはありませんので、栄養バランスのよい食事をしっかりと摂ることが大切です。
とはいえ、「本当に何でも食べてよいの?」「お薬に影響のある食べ物はないの?」など、食事について気になる点がある方も多いと思います。
そこで、食事について気になるお悩みや質問にお答えします。

Q1. お薬の吸収に影響する栄養素や食品はありますか?

Q1. お薬の吸収に影響する栄養素や食品はありますか?

薬剤師からの回答・アドバイス

たんぱく質、ビタミンB6、牛乳をパーキンソン病のお薬(L-ドパ製剤)と一緒に摂ると、お薬が吸収されにくくなり、効果が弱まることがあります。お薬を飲むタイミングと食事の内容を工夫する必要があります。

反対に、柑橘類や酢の物、レモン水のような酸性の食べ物や飲み物と一緒にパーキンソン病のお薬(L-ドパ製剤)を服用すると、お薬の吸収がよくなるため、お薬の効果があらわれやすくなります。副作用などが強くあらわれることもあるので、お薬と一緒に摂るときは主治医や薬剤師に相談しましょう。

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Q2. たんぱく質は摂りすぎないほうがよいのでしょうか?

Q2. たんぱく質は摂りすぎないほうがよいのでしょうか?

薬剤師からの回答・アドバイス

パーキンソン病のお薬の有効成分(L-ドパ)とたんぱく質は、どちらも同じトランスポーター(運び屋)を介して吸収されるため、パーキンソン病のお薬(L-ドパ製剤)を服用する前にたんぱく質を多く含む食事を摂ると、トランスポーター(運び屋)が足りなくなり、吸収が弱まる可能性があります。しかし、たんぱく質は体に必要な栄養素ですので、しっかり摂っていただきたいです。

対策として、1日3回食後にお薬を飲んでいる方であれば、お薬の効果を高めたい朝や昼はたんぱく質を控えた食事にし、効果が弱まっても影響の少ない夜に、必要なたんぱく質をまとめて摂取する方法があります。また、お薬の服用が朝食後1回のみという方であれば、昼食や夕食でたんぱく質を多く摂っても問題はありません。

このほか、たんぱく質の多い食事を摂るときは、食前にお薬を飲むという方法もあります。また、牛乳もお薬を吸収されにくくするので、お薬を服用してから2時間ほど時間を開けて飲むといいでしょう。

いずれにしても、実際に行うときは主治医や薬剤師に相談するようにしましょう。

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Q3. ビタミンB6は摂取してもよいでしょうか?

Q3. ビタミンB6は摂取してもよいでしょうか?

薬剤師からの回答・アドバイス

通常の食事で摂取する量であれば神経質になる必要はありません。

アボカドなどに多く含まれるビタミンB6には、パーキンソン病のお薬の有効成分(L-ドパ)の分解を促進して効果を弱める作用がありますが、現在使われているお薬の多くにはL-ドパの分解を防ぐ成分も配合されています。

ビタミンB6を多量に含むサプリメントや市販薬を服用する場合は、主治医や薬剤師に相談するようにしましょう。

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Q4. ほかに、お薬との飲み合わせに注意が必要なものは ありますか?

Q4. ほかに、お薬との飲み合わせに注意が必要なものは ありますか?

薬剤師からの回答・アドバイス

胃酸の分泌を抑えたり胃酸を中和したりする胃薬や、酸化マグネシウムを含む便秘薬などと一緒にパーキンソン病のお薬(L-ドパ製剤)を飲むと、パーキンソン病のお薬の吸収が低下し、効果が弱まる可能性があります。

ドラッグストアなどで市販薬を購入する際は、パーキンソン病のお薬を飲んでいることを薬剤師に伝え、相談するようにしてください。

また、水素水やアルカリイオン水はパーキンソン病のお薬(L-ドパ製剤)の吸収を低下させます。水素水などのアルカリ性の水でパーキンソン病のお薬を飲むのは避けましょう。水素水などを飲む場合は、お薬を飲んでから2時間程度空けるようにしてください。

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Q5. お薬の吸収を高める工夫はありますか?

Q5. お薬の吸収を高める工夫はありますか?

薬剤師からの回答・アドバイス

パーキンソン病のお薬を長く飲んでいる方や加齢などで胃酸の分泌が減っている方は、パーキンソン病のお薬(L-ドパ製剤)の吸収が悪くなることがあります。そのような場合は、レモン水などの酸性の液体と一緒にお薬を飲むと、お薬の吸収が促され、効果が出やすくなることがあります。柑橘類や酢の物でも同様の効果が期待できます。

ただし、効果が出やすくなる反面、副作用などが強くあらわれることもあるので、実際に行うときは主治医や薬剤師に相談するようにしましょう。

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Q6. お酒は飲んでもよいでしょうか?

Q6. お酒は飲んでもよいでしょうか?

薬剤師からの回答・アドバイス

お酒はパーキンソン病の進行にはあまり影響がないと考えられているため、適量であれば飲んでも問題ありません。ただし、楽しむ程度にとどめるようにし、飲みすぎには注意しましょう。

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Q7. カフェインは積極的に摂った方がよいのでしょうか?

Q7. カフェインは積極的に摂った方がよいのでしょうか?

薬剤師からの回答・アドバイス

ある研究で、コーヒーなどに含まれるカフェインを適量摂取することでパーキンソン病の発症を予防する効果が得られる可能性があると報告されたため、カフェインを積極的に摂っている患者さんが多くいらっしゃいます。
ただ、現在のところカフェインがパーキンソン病の発症を本当に予防するかどうかについては、確かな研究結果が出ているわけではありません。コーヒーが好きな方にとっては、毎日2〜3杯のコーヒーが気分転換や楽しみにもなりますが、コーヒー(またはカフェインを含む飲料)を大量に摂取している場合は、主治医や薬剤師に相談するようにしてください。

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Q8. 積極的に取り入れた方がいい食品やサプリメントはありますか?

Q8. 積極的に取り入れた方がいい食品やサプリメントはありますか?

薬剤師からの回答・アドバイス

パーキンソン病の発症予防や症状をよくするために、確かな研究結果がでている食品や栄養素はありません。試してみたい食品やサプリメントがある場合は、自己判断で取り入れる前に、主治医や薬剤師に相談してみましょう。

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Q9. パーキンソン病患者さんのご家族・介助を行う方へ 薬物治療を続ける意義は?

Q9. パーキンソン病患者さんのご家族・介助を行う方へ 薬物治療を続ける意義は?

薬剤師からの回答・アドバイス

パーキンソン病は長く付き合い続けていく病気ですので、終わりのない治療に不安を抱える患者さんやご家族も少なくありません。しかし現在は、適切な薬物治療やリハビリを行うことで、パーキンソン病になっても同年代の方と同じような生活を長く過ごせるようになってきています。

将来的には、パーキンソン病を治す画期的で新しい治療方法が登場するかもしれません。その日まで、リハビリをしながら運動機能の低下をやわらげ、できるだけ長く元気で過ごていただきたいのです。そのためにも、お薬で調子のよい状態を保ち、無理なく楽しく日常生活やリハビリを続けていくことが大切なのです。

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