Priority Disease Areas 重点疾患領域
がん領域および精神神経領域(CNS領域)を重点疾患領域とし、医薬品、再生・細胞医薬による多様なアプローチで人々の健康で豊かな生活に貢献していきます。
2つの重点疾患領域とその他領域の取組
当社グループは、「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」を2033年の目指す姿として掲げています。アンメット・メディカル・ニーズが高い精神神経領域およびがん領域を重点疾患領域とし、これまで紡ぎあげてきた当社グループの経験と知識を最大限生かせるこれらの領域において、引き続き、医薬品、再生・細胞医薬の研究開発に積極的に取り組みます。また、その他領域においても保有アセットを生かし、確かな価値を患者さんに届けるべく、着実な研究開発を推進します。
創薬研究においては、トランスレーショナル研究、バイオマーカー研究およびモダリティ技術において独自性の高い創薬基盤を更に強化するとともに、データ駆動型創薬を推進し、病態の本質を捉えた開発候補品目を継続的に創出することを目指します。
がん領域
これまでの研究開発活動を通じて、さまざまな知見を得るとともに、創薬力を強化し、特長を有する複数の開発パイプラインを創出してきました。これらを生かし、引き続きアンメット・メディカル・ニーズの高いがん領域の研究開発に注力しています。
創薬においては、自社が有する新規技術を用いたモダリティ展開やアカデミアとの共同研究などの取組を通じて競争力を高め、革新的な新薬の創出を目指しています。
開発段階では、初期臨床評価中の複数の開発パイプラインについて、短期・小規模の試験でデータを慎重に評価することなどにより、最適な対象がん種および製品価値を見極め、成功確度の向上を目指しています。特にenzomenib(DSP-5336)およびnuvisertib(TP-3654)に資源を集中し、早期の承認取得と価値最大化を目指しています。
精神神経領域(CNS領域)
先端技術を取り入れながら築いた自社独自の創薬技術プラットフォームを基盤に、競争力のある創薬研究を推進しています。
CNS領域では、アンメット・メディカル・ニーズの高い神経疾患(神経変性疾患・希少疾患など)に重点を置いて、継続的な価値創造に取り組みます。特に、臨床病態との関連性が高い創薬標的に対して、当社の強みである中枢移行性のある低分子創薬技術を適応することで、根治療法薬等の革新的な新薬の創出を目指しています。また、iPS細胞などのヒト外挿性の高い非臨床モデルを活用するとともに、蓄積した脳波やイメージングなどのトランスレーショナル技術をさらに強化することで、研究開発の成功確度の向上を図っています。
また、原則としてテーマを発案した研究者がリーダーとして初期臨床開発段階までプロジェクトを進める新しい研究プロジェクト制を2017年度から導入しています。
その他領域
保有アセットを生かし、確かな価値を患者さんに届けます。以下の取組を推進しています。
- グローバルヘルスやパンデミックへの備えに貢献するため、ユニバーサルインフルエンザワクチンおよび薬剤耐性菌感染症治療薬の研究開発に取り組んでいます。
再生・細胞医薬
アカデミア、ベンチャー、異業種とのオープンイノベーションを通じたネットワーク、多能性幹細胞からの分化誘導技術に代表されるiPS細胞の実用化に向けた技術蓄積、細胞製造に関わる製法、インフラ、人材などの豊かな製造ケイパビリティを強みとし、再生医療でしか達成できない新たな価値の提供を目指しています。
具体的には、1990年代から研究活動に取り組んでおり、住友化学が実施してきたヒトES細胞を用いた基盤研究や、眼科領域における住友化学と理化学研究所との共同研究を通じて得られた知見および知的財産も活用してきました。2024年度には、事業の推進と加速を目的とし、住友化学と合弁会社RACTHERAを設立しました。iPS細胞由来製品の早期の実用化に向けた取組を推進しており、世界初のパーキンソン病を対象としたiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞の上市を目指しています。