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vol.10 すべての人が平穏な暮らしを送るには?
【目標10】【目標16】

「誰一人取り残されない」とは?

SDGs部のみんなが、新入部員にSDGsの説明をしているよ。

SDGsが掲げている基本理念の中に、有名な言葉があるのを知ってる?「誰一人取り残されない(no one will be left behind)」。どこかで聞いたことあるでしょ。

ふと思ったんだけど、なんでわざわざこの言葉を掲げているんだろう?「誰一人取り残されない」ってどういう意味かな?

確かに……。考えたことなかった。

「誰一人取り残されない」というのは、SDGsの前身であるMDGs(ミレニアム開発目標)※1にはなかった言葉なんだ。2000年に採択されたMDGsは、極度の貧困の撲滅やジェンダー平等など8つの目標を2015年までに達成することを目指していた。その成果はとても大きかったんだけど、国や地域によって達成度に差があったし、国内でも性別や年齢、人種によって格差が多く残っていることがわかったんだよ。

確かに日本でも格差や不平等がたくさんあるよね。たとえば、LGBTQ(性的マイノリティ)に対する理解は少しずつ進んでいるけど、まだ同性同士では婚姻届が出せないし、トイレや銭湯のような公共施設を普通に利用できない人たちもいる。

障がいのある人や外国籍の人も暮らしにくさを感じることがあるかもしれない。制度や社会の仕組みって多数派に合わせて作られることが多いから、少数派や発言力の弱い人のことは後回しになってしまうんだよね。

だからこそSDGsでは「誰一人取り残されない」という姿勢を強調しているんだね。

世界に目を向けたら、格差や不平等はもっと大きいよ。日本はもう70年以上戦争のない平和な状態を維持できているけど、それも世界的に見れば決して当たり前ではないし。

ロシアによる軍事侵攻でウクライナでも突然戦争が始まっちゃって、たくさんの人が国を追われたり、家族を引き裂かれたりしているもんね。

ウクライナの中でも格差があるみたい。出国するときに人種によって足止めされたり、人種差別的な扱いを受けたというニュースを見たよ。

ロシア人が他の国で中傷や嫌がらせにあっているという話も聞くね。一般市民は何も悪いことをしていないのに……。

特定の国籍・人種に対する差別は、国際平和を求めた軍事侵攻への抗議とは全く違うもの。決して許されない人権侵害行為だからね。

※1 ユニセフ「ミレニアム開発目標(MDGs)」
https://www.unicef.or.jp/mdgs/

不平等が生まれる原因とは?

格差や不平等が生まれる要因にはいくつかあるけど、どんなことが考えられるかな?

ウクライナからの出国の話もそうだけど、人種差別は世界中で起きているよね。

アメリカで黒人差別の撤廃を訴えた「ブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter:BLM)」運動は、日本でも話題になったよ。黒人というだけで、ネガティブなイメージを押し付けられるなんて、本当にひどい。

黒人だけじゃなく、アジア系の住民や留学生も差別的な扱いを受けることがあるって聞くよ。悲しいことだけど、他の人種より白人が優れていると思っている人は確実にいるんだよね。

調べてみよう!

資料1
ウポポイ「アイヌ文化について」
資料2
内閣府「国民のアイヌに対する理解度に関する世論調査」
「国民のアイヌに対する理解度についての意識調査」
  • アイヌの人々はどの地域の先住民族かな?
  • アイヌ民族とそうでない人で、アイヌ民族への差別があるかどうかの認識はどう違うかな?
  • アイヌ民族はどんな差別を受けているかな?
  • アイヌ民族への差別や不平等をなくしていくためには、どんなことが必要かな?

経済格差による不平等も深刻だよね。

うん、上位1%の富裕層が世界全体の37.8%の資産を独占しているというデータがあるんだよ。逆に下位50%の貧困層は、全体の2%の資産で暮らしている。※1コロナ禍でその格差はさらに広がったと言われているんだ。富裕層は政治的にも強い力を持つから、彼らにとってより有利な制度や法律ができてしまうこともある。

そして経済格差は、教育の不平等や医療の不平等にも繋がっているよ。しかもそれは親から子へ、孫へと連鎖しやすくて、なかなか貧困を抜け出せない。

Vol.8でも言ったけど、性別による不平等も根強くあるよね。女性だからという理由で教育を受けられなかったり、無理やり結婚させられたりする地域もある。

その通りだね。他にはどうかな?

障がいのある人に対する不平等もある。就職先が限られたり、賃金や昇進で差別されたりすることがあるみたい。家を借りることや、ツアー旅行への参加を断られることもあるんだって。

「障がい者」って言うけど、その人自身に障害(活動の妨げやその原因)があるのではなくて、彼らを取り巻く社会のいろんなハードルが障害を生んでいるという考え方もあるんだよ。

たとえ身体が不自由でも、誰もが暮らしやすい環境や周りの人の意識が整っていれば、不自由は“障害“ではなくなるってことか。なるほどね!

SDGsの目標10は、こうしたさまざまな不平等について扱っているよ。

  • 10 人や国の不安等をなくそう
  • SDGsの目標 10

    国内および各国間の不平等を減らす

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ターゲット

10.1
2030年までに、各国の所得下位40%の人々の所得の伸び率を、国内平均を上回る数値で着実に達成し維持する。
10.2
2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、経済的地位やその他の状況にかかわらず、すべての人々に社会的・経済的・政治的に排除されず参画できる力を与え、その参画を推進する。
10.3
差別的な法律や政策、慣行を撤廃し、関連する適切な立法や政策、行動を推進することによって、機会均等を確実にし、結果の不平等を減らす。
10.4
財政、賃金、社会保障政策といった政策を重点的に導入し、さらなる平等を着実に達成する。
10.5
世界の金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。
10.6
より効果的で信頼でき、説明責任のある正当な制度を実現するため、地球規模の経済および金融に関する国際機関での意思決定における開発途上国の参加や発言力を強める。
10.7
計画的でよく管理された移住政策の実施などにより、秩序のとれた、安全かつ正規の、責任ある移住や人の移動を促進する。
10.a
世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対して「特別かつ異なる待遇(S&D)」の原則を適用する。
10.b
各国の国家計画やプログラムに従って、ニーズが最も大きい国々、特に後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国、内陸開発途上国に対し、政府開発援助(ODA)や海外直接投資を含む資金の流入を促進する。
10.c
2030年までに、移民による送金のコストを3%未満に引き下げ、コストが5%を超える送金経路を完全になくす。

https://xsdg.jp/pdf/SDGs169TARGETS_200717.pdfをもとに作成

うちでもさ、「お兄ちゃんばっかりずるい」とか、「お母さんはAに甘い」とかよく兄弟喧嘩するけど、不平等って理不尽でイライラするんだよな。

わかる。人種差別や経済格差も社会への不満や怒りに繋がって、いろんなところで暴動が起きているもんね。

不平等をなくすってことは、すべての人が平和に暮らせる社会をつくるために欠かせないんだね。

考えてみよう!

キーワード:
  • 固定観念
  • 無知・理解不足
  • 多数派/少数派
  • 集団心理
  • 多様性

※1 World Inequality Lab “World Inequality Report 2022”
https://wir2022.wid.world/www-site/uploads/2023/03/D_FINAL_WIL_RIM_RAPPORT_2303.pdf

多くの子どもが暴力の被害者に

差別や偏見そのものが精神的な暴力とも言えるよね。

そういえば小学生の頃にイスラム教の子がヒジャブ(スカーフ)を巻いていて、からかわれていたな。嫌がっていたのに、何もしてあげられなかった……。

他にも、意外と身近なところに暴力があるよね。たとえば、いじめは世界でも問題になっているんだよ。13~15歳の約3人に1人がいじめを受けた経験があるそうだ。※1 学校や家庭のように限られた狭い世界で生きている子どもたちは、逃げ場がなくて暴力の対象になりやすいんだね。

家庭内暴力で子どもが亡くなるニュースも後を絶たないよね。

世界でも、2~4歳児の約4人に3人が家庭内で体罰を受けていると言われている(94カ国のデータ)。※1

家庭内暴力って外からは見えにくいから、やめさせるのもなかなか難しいよね。

体罰はしつけのために必要だって考える国もまだたくさんあるからね。日本も昔はそういう考えもあったんだよ。

世界には戦争という暴力に巻き込まれている人もすごくたくさんいるよね。

そうだね。戦争の原因は、独裁政権への反発や、異なる宗教や民族間の対立、土地の奪い合い、石油やレアメタルのような資源の奪い合いなどいろいろだけど、苦しい生活を強いられるのはいつも一般の市民だよね。今、紛争や戦争が原因で、国内外で避難生活を送っている人は2022年末時点で1億人を超えているんだ。※2戦争の地域で生活している人は、第二次世界大戦以降で最も多く、20億人いるというデータもあるんだよ。※3

入り組んだ紛争地帯にある難民キャンプには支援も届きにくくて、最低限の住む場所と食料、水、衣服やトイレも十分でない人たちがいるみたい。

子どもは栄養不足になるだろうし、不衛生だと感染症も広がりやすいよね。学校だって行けない子がたくさんいるだろうな。

治安も悪化するから、虐待や暴力も起こりやすくなる。安全な隣国に避難できても、その国の経済状況が良くなければ、医療が全額負担になったり、住む場所や仕事も制限されたりしてしまうんだよ。

たまたまその国に生まれたというだけで、そんな辛い目に合うなんて、本当に不公平だよね。

でも日本だって昔、戦争をしていた時期があったんだよね。同じことがまた起きないっていう保障はない。

その通り。だから悲劇を繰り返さないためにも、戦争がなぜ起きたのか、どんな被害があったのか、過去を知ることも大切なんだよ。
SDGsの目標16が平和にも関係するから見てみよう。

  • 16 平和と公正をすべての人に
  • SDGsの目標 16

    持続可能な開発のための平和でだれをも受け入れる
    社会を促進し、すべての人々が司法を利用できるようにし、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任がありだれも排除しないしくみを構築する

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ターゲット

16.1
すべての場所で、あらゆる形態の暴力と暴力関連の死亡率を大幅に減らす。
16.2
子どもに対する虐待、搾取、人身売買、あらゆる形態の暴力、そして子どもの拷問をなくす。
16.3
国および国際的なレベルでの法の支配を促進し、すべての人々が平等に司法を利用できるようにする。
16.4
2030年までに、違法な資金の流れや武器の流通を大幅に減らし、奪われた財産の回収や返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。
16.5
あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減らす。
16.6
あらゆるレベルにおいて、効果的で説明責任があり透明性の高いしくみを構築する。
16.7
あらゆるレベルにおいて、対応が迅速で、だれも排除しない、参加型・代議制の意思決定を保障する。
16.8
グローバル・ガバナンスのしくみへの開発途上国の参加を拡大・強化する。
16.9
2030年までに、出生登録を含む法的な身分証明をすべての人々に提供する。
16.10
国内法規や国際協定に従い、だれもが情報を利用できるようにし、基本的自由を保護する。
16.a
暴力を防ぎ、テロリズムや犯罪に立ち向かうために、特に開発途上国で、あらゆるレベルでの能力向上のため、国際協力などを通じて関連する国家機関を強化する。
16.b
持続可能な開発のための差別的でない法律や政策を推進し施行する。

https://xsdg.jp/pdf/SDGs169TARGETS_200717.pdfをもとに作成

目標16には「平和」だけではなくて、「公正」っていう言葉があるけど、どういう意味なんだろう?

ネットの辞書には「偏りがなく正当なこと」って書いてあるよ。平等で不正やごまかしがないってことかな。

不正といえば、東京オリンピックの組織委員会の元幹部が逮捕されて有罪判決が出ていたよね。せっかくみんなで盛り上がっていたのに、がっかりだよ。

残念ながら不正はあらゆる国で行われていて、世界ではほぼ6社に1社の企業が公務員から賄賂を要求されたことがあるそうだ。※4

お金の力でズルをするのが当たり前になったら、選挙をする意味も失われちゃうし、税金が無駄に使われたりもしそうだよね。

※1 ユニセフ「すぐそこにある暴力」
https://www.unicef.or.jp/news/2017/0237.html

※2 国連UNHCR協会「数字で見る難民情勢(2022年)」
https://www.unhcr.org/jp/global_trends_2022

※3 The Sustainable Development Goals Report 2023: Special Edition
https://unstats.un.org/sdgs/report/2023/

※4 国際連合広報センター「持続可能な開発目標(SDGs)報告2022」
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_report/sdgs_report_2022/

自分の「当たり前」が「当たり前」じゃない人もいる

世の中にはいろんな理由で不当な扱いをされている人たちがいるんだね。彼らが何に困っているのか、どんな辛い目にあっているのかって、想像するだけじゃわからないことも多い。調べたり話を聞いたりして知ることがやっぱり大事なんじゃないかな。

自分の当たり前は、他の人の当たり前とは限らないもんね。SNSの使い方も考えないといけないなって思う。何か情報を入手したときに安易にリツイートしそうになるけど、その情報に差別や偏見がないか、そもそもその情報が本当かどうか、立ち止まって考えないといけないよね。じゃないと、無意識に差別や偏見を拡散することになる。

SNSは本名を明かさず投稿できるし、一気に世界中に拡散される。しかもその情報はほぼ永久に消すことができないから、偏見や差別から逃れられずに苦しみ続ける人もいるんだ。

SNSは便利で楽しいけど、怖い面もあることを知っておかなきゃ。

不平等をなくして、誰一人取り残されずに平和な社会を実現するってすごく難しいけど、一人一人の行動を変えることで、少しずつでも良くしていくことはできると思う。

まずは戦争の歴史を学んでみようかな。18歳になったら選挙に参加して頼れるリーダーを選びたいな。

さぁ、新入部員のみんなも、私たちにできることを一緒に考えていこう!

発見! SDGsチャレンジャー(目標10) 美しい島の魅力とハンセン病患者への差別の歴史を発信 Project O 津田真帆さん、平井愛美さん(共に大学1 年生)

  • 「らい菌」による感染症であるハンセン病。現在は治療法が確立され、早期の発見と適切な治療で完治することが分かっていますが、かつては不治の病として恐れられ、長く差別の対象にされてきました。患者は療養所に強制隔離され、遺伝病という誤解により子どもを産むことも禁じられました。入所者は家族との関係を絶たれ帰る場所を失い、隔離政策が終わった1996年以降も、施設で暮らし続ける元患者が多くいます。

    津田真帆さんがハンセン病について知ったのは中学2年生の時。地元香川県の瀬戸内海に浮かぶ大島は、島全体が療養所になっているのだと叔母から聞かされました。興味を持った津田さんは友人の平井愛美さんに声をかけ、講演会に参加したり、直接入所者たちの話を聞いたりして、ハンセン病について学び始めました。また、初めて大島に渡った時は、その美しさに感動したと言います。
    2人は島の魅力を発信することでハンセン病についても知ってもらいたいと、「大島しまあるきマップ」を作成。観光客に配布したほか、島内数カ所に設置しました。コロナ禍は活動が制限されましたが、入所者と手紙のやり取りなどを継続。「コロナの感染拡大が始まった頃は、未知の感染症に対する恐怖と、そこから生まれる差別意識やSNSでの誹謗中傷が社会に蔓延して、ハンセン病に似ていると感じました。ハンセン病は過去の話ではないと改めて思いました」(津田さん)。

  • 観光客に配布したほか、島内数カ所に設置しました。コロナ禍は活動が制限されましたが、入所者と手紙のやり取りなどを継続。「コロナの感染拡大が始まった頃は、未知の感染症に対する恐怖と、そこから生まれる差別意識やSNSでの誹謗中傷が社会に蔓延して、ハンセン病に似ていると感じました。ハンセン病は過去の話ではないと改めて思いました」(津田さん)。

    昨年からは高松市のハンセン病に関する教育カリキュラムの作成にも関わっています。「小中学生向けの講演会で話をすると、もっと知りたくなったという声を聞きます。伝えていくことの意義を感じますね」(平井さん)。差別され続けてきたにもかかわらず「人を愛することが大事」と語る入所者の言葉に胸を打たれたという津田さんも、「ハンセン病の歴史や入所者の方から学ぶことはたくさんある」と話します。その学びを教育現場に根付かせることを目指し、今後も活動を続けていきます。

    Project O
    https://project-o-1.jimdosite.com/

住友ファーマの取り組みはこちら SDGs 目標10「人や国の不平等をなくそう」

発見! SDGsチャレンジャー(目標16) ~ 「怖い」だけではない広島の歴史を伝えたい同世代への平和学習ツアーでガイドを ~ 奥野華子さん(短大2 年生)

  • 東京で学生生活を送る奥野華子さんは、年に数回、地元広島に帰り、平和教育を広めるNPO法人「Peace Culture Village (PCV)」が企画する修学旅行生向け平和学習ツアーのガイドをしています。ガイドを始めたのは、17歳の時に日米の高校生が共に平和について学ぶPCV主催のサマースクールに参加したことがきっかけでした。その中でアメリカの高校生の一人が、核兵器がどれだけの被害をもたらしたのか承知の上で「戦争を終わらせるために核兵器は必要だった」と意見を述べたのです。後々、その発言は彼が受けてきた教育によるものだと理解できたそうですが、当時の奥野さんはショックを受けて必死に反論。その様子を見ていたPCVのメンバーから誘われて活動に加わりました。

    意外にも、それまで奥野さんは平和活動に全く関心がなかったといいます。「サマースクールに参加したのも、身につけた英語を使いたいという軽い気持ちだったんです。でも、広島で生まれ育ち、核兵器のない平和な世界を望んでいながら何もしなくていいのかなと思うようになりました」。

  • ツアーの中では被爆者の話を聞く時間も設けていますが、修学旅行生と同世代の自分だからこそ伝えられることもあるのではと考えています。「戦争は怖いものだけど、平和について学ぶことは怖いものじゃない。核兵器の恐ろしさだけでなく、原爆投下前の広島には今と変わらない穏やかな日常があったことを伝えています」。

    一般的にこのような活動は無償のボランティアが多いですが、PCVでは有償化されていることもあり、数名で行っていたガイドは、今や100人程に増えているそう。「武器を作ることで儲けている人が世界にはたくさんいますが、平和のための活動にお金が回る仕組みがもっと増えていくといいですね」。

    Peace Culture Village
    https://peaceculturevillage.org/

住友ファーマの取り組みはこちら SDGs 目標16「平和と公正をすべての人に」

SDGs目標10 「 人や国の不平等をなくそう」 に関する住友ファーマの取り組み ~ 障がいのある従業員の適材適所での活躍推進を目指して ~

  • メール室で郵便物の仕分け作業中。職業訓練後に当社のグループ会社に入社した元実習生です。

    住友ファーマグループでは、障がいのある方の雇用に積極的に取り組み、ノーマライゼーションを推進しています。当社の特例子会社である「株式会社ココワーク」は、精神疾患の患者さんの「働く幸せ」のために2019年に設立されました。精神疾患の患者さんをメンバーとして雇用し、太陽光型水耕栽培で育てた葉物野菜を近隣の店舗や通販サイトで販売しています。
    また、当社のグループ会社では、2022年度から大阪府内の支援学校に通学する生徒を実習生として受け入れ、社員の指導の下、大阪府内の事業所で職業訓練を実施しています。実習生は何らかの障がいを持ち

  • また、当社のグループ会社では、2022年度から大阪府内の支援学校に通学する生徒を実習生として受け入れ、社員の指導の下、大阪府内の事業所で職業訓練を実施しています。実習生は何らかの障がいを持ちながらも、卒業後は社会に出て働きたいという意欲をもっています。2022年度の実習生には、2023年4月に当社のグループ会社に入社した実習生もおり、各職場において現在も活躍しています。実習生は職業訓練を通じて自己理解を深めることができ、当社は職業訓練期間を通じて実習生の特性や個性を知ることができるとともに受け入れ体制を構築しやすくなります。

    当社は多様な人材が適材適所で活躍できる職場づくりを目指して、今後も支援学校に通学する生徒の雇用にも積極的に取り組んでいきます。

    支援学校生徒を対象とした職業訓練の実施ならびに新たな雇用機会の創出に対する感謝状

SDGs目標16 「 平和と公正をすべての人に」 に関する住友ファーマの取り組み ~生命関連産業における法令遵守~

  • 住友ファーマは、「法令を遵守し、高い倫理観を持って透明かつ公正な企業活動を行う」ことを社内外に宣言しています。

    医薬品は、安心して安全に使える高品質のものでなくてはならないので、医薬品を研究開発・製造するときに製薬会社が守るべき基準がたくさんあります。例えば、「GLP(Good Laboratory Practice):医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」や「GCP(Good Clinical Practice):医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」は、医薬品の研究開発でさまざまな試験を実施する際の規則であり、「GMP(Good Manufacturing Practice):医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理に関する基準に関する省令」は、承認された医薬品の製造と品質管理の方法等を定めています。これらに違反すると、罰則や罰金が適用される場合もあります。

    医薬品は人体に影響のあるものなので、いずれもとても厳しい基準となっています。その中でも、ヒトに対する安全性や有効性を評価する治験(臨床試験)を実施する際に守るべきGCPは、治験の準備に関する基準、治験の管理に関する基準、治験を行う基準から構成されていて、被験者(治験の対象となる人)の人権を守り、安全に治験を受けられるようにするとともに、治験の

  • 科学的な質に責任を持ち、信頼性を保つために大切な基準です。

    医薬品は人体に影響のあるものなので、いずれもとても厳しい基準となっています。その中でも、ヒトに対する安全性や有効性を評価する治験(臨床試験)を実施する際に守るべきGCPは、治験の準備に関する基準、治験の管理に関する基準、治験を行う基準から構成されていて、被験者(治験の対象となる人)の人権を守り、安全に治験を受けられるようにするとともに、治験の科学的な質に責任を持ち、信頼性を保つために大切な基準です。

    【GCPの内容例】※1
    ・治験の内容を国に届けること
    ・治験審査委員会で治験の内容をあらかじめ審査すること
    ・同意が得られた患者さんのみを治験に参加させること
    ・重大な副作用は国に報告すること
    ・製薬会社は、治験が適正に行われていることを確認すること

    当社は客観的で正確なデータを作成し、改ざん、隠ぺい等の不正行為を一切行わず、また、委託先、共同研究機関等に対してもそのような不正行為を要求しません。有効性や安全性が確認された通りのものを製造し続けることは、製薬会社としての使命なので、これからも真摯に取り組んでいきます。

    法令遵守の当社の取組として、コンプライアンス※2の意識を高く持ち続けるために教育や研修を実施しています。また、コンプライアンス違反またはそのおそれがある行為について通報・相談できる窓口として、コンプライアンス・ホットラインを設置しています。

※1 厚生労働省 2.治験のルール「GCP」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/fukyu2.html

※2 企業が、法律や企業倫理を遵守すること

監修:蟹江憲史(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)