印刷(PDF/205KB)はこちらから 2026年11月05日 研究開発
米国血液学会(ASH)2026における開発中の抗がん剤enzomenibおよびnuvisertibに関する臨床データ発表のお知らせ
住友ファーマ株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:木村 徹)の米国子会社であるSumitomo Pharma America, Inc.(以下「SMPA社」)は、米国血液学会(ASH:American Society of Hematology)の2026年年次総会(開催時期:12月12日~12月15日、開催場所:米国ニューオーリンズ)において、抗がん剤として開発中の選択的メニン阻害剤enzomenib(一般名、開発コード:DSP-5336)およびPIM1キナーゼ阻害剤nuvisertib(一般名、開発コード:TP-3654)に関する最新の臨床データを発表しますので、お知らせします。
enzomenibについては、KMT2A遺伝子の再構成を有する再発または難治性の急性白血病患者を対象に進行中のフェーズ1/2試験における、ピボタルフェーズ2パートの有効性および安全性データを初めて発表します。本データは、高リスクの急性白血病患者集団に対する標的治療の選択肢として、enzomenibの可能性を示唆するものです。
また、NPM1遺伝子の変異を有する再発または難治性の急性白血病患者を対象としたフェーズ2試験におけるenzomenibの推奨用量を決定するために実施した用量最適化パートの結果も初めて発表します。enzomenibを200mgまたは300mgで1日2回投与(BID)した両群において、概ね良好な忍容性および臨床活性が認められました。客観的奏効率(ORR)は200mg BID群で54%、300mg BID群で57%、完全寛解(CR)および部分的な血液学的回復を伴う完全寛解(CRh)の割合(CR+CRh率)は200mg BID群で35%、300mg BID群で43%でした。
白血病は造血組織に発生する血液悪性腫瘍の一種で、骨髄における血液細胞(通常は白血球)の無秩序な増殖を特徴とします。白血病の一種である急性白血病では、血液細胞が急速に増殖し、突然症状が現れるため、早急な治療が必要とされています。急性骨髄性白血病患者の約30%がNPM1遺伝子の変異を有し、5~10%がKMT2A遺伝子の再構成を有しているといわれています。
nuvisertibについては、JAK阻害剤による治療歴を有する骨髄線維症患者を対象に進行中のモメロチニブ併用のグローバルフェーズ1/2試験における、フェーズ1用量最適化パートの最新データを発表します。評価した用量において良好な忍容性が示唆され、症状および脾臓に関する奏効、貧血の改善、サイトカインの調節など有望な臨床活性が認められました。本結果は、貧血を有する骨髄線維症患者を対象としたモメロチニブとの併用療法のフェーズ3の臨床開発を支持するものです。
骨髄線維症は稀な血液悪性腫瘍の一種で、JAKシグナル伝達経路の調節異常によって骨髄に線維組織が蓄積することを特徴とし、血液細胞の産生に影響を及ぼすことがあります。骨髄線維症は重篤かつ希少な疾患であり、世界中で毎年10万人あたり0.7人が新たに発症しています。
当社は、enzomenibおよびnuvisertibの開発を推進し、治療選択肢が限られている急性白血病や骨髄線維症の患者さんの治療成績の改善に貢献することを目指します。
【ASH2026での発表の概要】
enzomenib(DSP-5336)に関する口頭発表
| 演題 | Initial report of the Phase 2 pivotal data in patients with relapsed or refractory KMT2Ar acute leukemia from the phase 1/2 trial of the investigational menin inhibitor enzomenib (DSP-5336) |
|---|---|
| セッション名 | 616. Acute Myeloid Leukemias: Investigational Drug and Cellular Therapies - Novel Combinations with Menin, FLT3 and BCL2 Inhibitors |
| 発表日時 |
2026年12月13日(日) 午後4:30から午後6:00(現地時間) プレゼンテーションは午後5:00(現地時間) |
| 場所 | Hall B(New Orleans Ernest N. Morial Convention Center) |
| 発表者 | Harry P. Erba, M.D., Ph.D. |
enzomenib(DSP-5336)に関するポスター発表
| 演題 | Enzomenib dose optimization and determination of the recommended Phase 2 dose in patients (pts) with relapsed or refractory NPM1m acute leukemia |
|---|---|
| セッション名 | 616. Acute Myeloid Leukemias: Investigational Drug and Cellular Therapies: Poster III |
| 発表日時 | 2026年12月14日(月) 午後6:00から午後8:00(現地時間) |
| 場所 | Hall F(New Orleans Ernest N. Morial Convention Center) |
| 発表者 | Cristina Papayannidis, M.D., Ph.D. |
nuvisertib(TP-3654)に関する口頭発表
| 演題 | Investigational PIM1 kinase inhibitor nuvisertib in combination with momelotinib showed promising clinical activity in patients with myelofibrosis and anemia: Preliminary data from an ongoing Phase 1/2 study |
|---|---|
| セッション名 | 634. Myeloproliferative Syndromes: Clinical and Epidemiological: Combining Forces Against Myelofibrosis |
| 発表日時 |
2026年12月13日(日) 午前9:30から午前11:00(現地時間) プレゼンテーションは午前9:45(現地時間) |
| 場所 | R02-R05(New Orleans Ernest N. Morial Convention Center) |
| 発表者 | Lindsay A.M. Rein, M.D. |
nuvisertib(TP-3654)に関するポスター発表
| 演題 | Selective PIM1 inhibition with nuvisertib promotes megakaryocyte maturation and platelet production in myelofibrosis patients |
|---|---|
| セッション名 | 631. Myeloproliferative Syndromes and Chronic Myeloid Leukemia: Basic and Translational: Poster I |
| 発表日時 | 2026年12月12日(土) 午後5:30から午後7:30(現地時間) |
| 場所 | Hall F(New Orleans Ernest N. Morial Convention Center) |
| 発表者 | Lilian Varricchio, Ph.D. |
*本件に関連するプレスリリースとして、以下を開示しています。
- 開発中の抗がん剤enzomenibがFDA「ブレイクスルーセラピー」に指定
- 欧州血液学会(EHA)2026における開発中の抗がん剤であるnuvisertibおよびenzomenibに関する最新データ発表のお知らせ
- 開発中の抗がん剤nuvisertib(TP-3654)について FDA「ファストトラック指定」受領のお知らせ
ご参考
enzomenib(DSP-5336)について
enzomenibは、急性白血病およびその他の多様ながんにおける腫瘍細胞の増殖に関与する重要な分子機構であるメニンタンパク質とKMT2Aタンパク質との結合を阻害する低分子経口剤です。KMT2A遺伝子の再構成やNPM1遺伝子の変異を有する急性骨髄性白血病では、メニンとKMT2Aの結合による、造血幹細胞の維持に必要となる遺伝子(HOXA9およびMEIS1遺伝子)の異常発現が認められ、急性骨髄性白血病の発症・維持に関連しているといわれています。本剤は、非臨床試験において、メニンとKMT2Aの結合を阻害することにより、それらの遺伝子の発現減少を介した抗腫瘍作用が示されました。本剤は、米国食品医薬品局(FDA)から、2022年6月に急性骨髄性白血病、2026年7月に急性リンパ性白血病の適応でオーファンドラッグ指定を、2024年6月にKMT2A遺伝子の再構成またはNPM1遺伝子の変異を有する再発または難治性の急性骨髄性白血病の適応でファストトラック指定を、2026年10月にKMT2A遺伝子の再構成を有する再発または難治性の急性白血病の適応でブレイクスルーセラピー指定を受けています。また、厚生労働省から、2024年9月に、再発または難治性のKMT2A遺伝子再構成陽性またはNPM1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病、2026年8月に急性骨髄性白血病における対象患者の範囲拡大(初発例を含むKMT2A遺伝子再構成またはNPM1遺伝子変異を有する患者)および再発または難治性のKMT2A遺伝子再構成を有する急性リンパ性白血病の適応で希少疾病用医薬品指定を受けています。
nuvisertib(TP-3654)について
nuvisertibはPIM1(proviral integration site for Moloney murine leukemia virus 1)キナーゼ阻害を介して炎症性シグナル経路を抑制します。PIM1キナーゼは、様々な血液がんおよび固形がんにおいて過剰発現し、がん細胞のアポトーシス回避、腫瘍増殖の促進につながる可能性があります。また、本剤は非臨床試験においてACVR1への結合および阻害が認められており、この作用が骨髄線維症患者におけるヘモグロビン値の改善に寄与している可能性があります。本剤は骨髄線維症の適応で、FDAから2022年5月にオーファンドラッグ指定を、2025年6月にファストトラック指定を、厚生労働省から2024年11月に希少疾病用医薬品指定を、欧州医薬品庁(EMA)から2025年7月にオーファンドラッグ指定を受けています。
以上
報道関係者の皆さまからのお問い合わせ