パーキンソン病の診断と検査
監修 村田美穂先生
パーキンソン病の四大症状(
安静時振戦
、動作緩慢・
無動
、
筋強剛
、
姿勢反射障害
)が現れる病気を大きく、
パーキンソン症候群
またはパーキンソニズムと呼びます。四大症状のうち2つ以上があてはまれば、パーキンソン症候群と診断しますが、この中にはお薬の影響など、パーキンソン病以外によるものも含まれます。
これらの病気は原因も治療法も違うため、病気の経過、症状、検査結果などをもとに診断して、きちんと区別することが大切です。そのため、パーキンソン病の診断では、問診で症状や経過を確かめて、検査結果を参考にしながら、診断基準に沿って総合的に判断していくことになります。
パーキンソン病の診断手順
村田美穂監修:スーパー図解パーキンソン病. 法研, 東京, p59, 2014
一般的に、脳や中枢神経の検査には、MRI、脳波、脊髄液検査などが行われます。しかし、パーキンソン病の患者さんでは、これらの検査では異常がみられないため、他のパーキンソン症候群と区別するために使われてきました。
しかし最近、MIBG心筋シンチグラフィー、ドパミントランスポーター(DAT)SPECTのように、パーキンソン病の患者さんを発見できる新しい検査法が開発されたことから、診断の補助的な手段として注目されています。
MIBG心筋シンチグラフィーは、MIBGという物質を注射して心臓の交感神経の働きを画像で調べています。パーキンソン病の患者さんでは、MIBGの心筋へのとりこみが低下していることが知られており、その様子を観察します。
また、DaTスキャンは放射線を出す検査薬を注射して、脳内で
ドパミン
の働きに関係するドパミントランスポーター(DAT)を画像で調べています。パーキンソン病の患者さんでは、ドパミントランスポーター(DAT)が少なかったり、左右で非対称になっていたりします。
パーキンソン病の診断が可能な検査
■MIBG心筋シンチグラフィー
パーキンソン病の患者さんでは、MIBGの心筋への取り込みが低下している。
■ドパミントランスポーターシンチグラフィー(Dat Scan®)
正常な場合は、ドパミントランスポーターに集積された薬剤が三日月形、あるいはカンマ形を示す。
パーキンソン病の場合は、薬剤の集積量が低下したり、左右が非対称の形になったりする。
村田美穂監修:スーパー図解パーキンソン病. 法研, 東京, p63, 2014