Profiles of Major Products under Development 主な開発品のプロフィール
開発中の新薬候補化合物を掲載しています。
2025年1月31日現在
精神神経領域
【低分子】
DSP-0038
起源 | 自社(Exscientia社との共同研究) |
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剤形 | 経口剤 |
開発段階 |
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本剤は、Exscientia社のAI技術を用いて当社が創製した新規化合物であり、セロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト活性および5-HT1A受容体アゴニスト活性を有する。5-HT2A受容体アンタゴニストおよび5-HT1A受容体アゴニスト活性を併せ持つことで強い抗精神病作用を有し、加えて焦燥・攻撃性・不安・うつ症状などのアルツハイマー病を含む認知症の種々の行動・心理症状にも幅広く効くことが期待される。また、本剤はドパミンD2受容体拮抗作用がないことから、既存の抗精神病薬に比べ高い安全性・忍容性が期待できる。
DSP-0187
起源 | 自社 |
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剤形 | 経口剤 |
開発段階 |
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本剤は、選択的オレキシン2受容体作動薬である。オレキシンの欠乏によって生じるナルコレプシーの日中過眠や情動脱力発作を中心とした各症状の改善効果が期待される。また、ナルコレプシー以外の過眠疾患への適応も期待される。2022年4月、日本・中国・その他アジアの一部を除くテリトリーでの独占的開発・販売権をJazz社に導出した。
DSP-3456
起源 | 自社 |
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剤形 | 経口剤 |
開発段階 |
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本剤は、代謝型グルタミン酸受容体2/3ネガティブアロステリックモジュレーター(mGluR2/3 NAM)である。ケタミンが惹起する副作用(精神病様症状、認知機能障害)を回避しつつ、グルタミン酸の遊離促進による前頭前皮質の選択的な活性化を介したケタミン様の抗うつ作用を示すことが期待される。
DSP-0378
起源 | 自社 |
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剤形 | 経口剤 |
開発段階 |
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本剤は、γ-アミノ酪酸(GABA)A 受容体ポジティブアロステリックモジュレーターである。シナプス領域およびシナプス外領域に発現するさまざまなサブタイプのGABAA受容体に対し、ベンゾジアゼピン系薬剤および神経ステロイドなど、既知のGABAA受容体賦活化作用を持つ化合物とは異なる様式で作用する。ドラベ症候群や レノックス・ガストー症候群などの希少難治性疾患を含む、広範なてんかんに対する治療薬となることが期待される。
DSP-2342
起源 | 自社(Exscientia社との共同研究) |
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剤形 | 経口剤 |
開発段階 |
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本剤は、Exscientia社のAI技術を用いて当社が創製した新規化合物であり、セロトニン5-HT2Aおよび5-HT7受容体へのアンタゴニスト活性を有する。5-HT2Aおよび5-HT7受容体へのアンタゴニスト活性を併せ持つことで精神病症状や不安・うつ症状など幅広く精神症状に有効性を示すことが期待される。また、本剤は5-HT2Aおよび5-HT7受容体への選択性を高めていることから、高い安全性・忍容性が期待できる。
【再生・細胞医薬】
当社は産学の連携先と、パーキンソン病、網膜色素上皮裂孔・加齢黄斑変性、網膜色素変性、脊髄損傷を対象に、他家(健常人)iPS細胞を用いた他家iPS細胞由来細胞製品を開発している。
CT1-DAP001/DSP-1083(他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞)
連携先 | 京都大学iPS細胞研究所、カリフォルニア大学サンディエゴ校 |
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開発段階 |
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2017年2月にパーキンソン病の適応で厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の指定を受けている。
HLCR011(他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞)
連携先 | 理化学研究所、ヘリオス |
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開発段階 |
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DSP-3077(他家iPS細胞由来網膜シート)
連携先 | マサチューセッツ眼科耳鼻科病院(ハーバード大学(Harvard Medical School)のTeaching Hospital) |
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開発段階 |
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がん領域
nuvisertib/TP-3654
起源 | 自社(旧Tolero社) |
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剤形 | 経口剤 |
開発段階 |
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・ 本剤は、PIM1(proviral integration site for Moloney murine leukemia virus 1)キナーゼ阻害を介して炎症性シグナル経路を抑制する。PIM1キナーゼは、さまざまな血液がんおよび固形がんにおいて過剰発現し、がん細胞のアポトーシス回避、腫瘍増殖の促進につながる可能性がある。本剤は、2022年5月に骨髄線維症の適応で米国食品医薬品局(FDA)からオーファンドラッグ指定を受けている。また、2024年11月に骨髄線維症の適応で厚生労働省から希少疾病用医薬品指定を受けている。
enzomenib/DSP-5336
起源 | 自社(京都大学との共同研究) |
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剤形 | 経口剤 |
開発段階 |
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本剤はメニンタンパク質とMLL(mixed-lineage leukemia)タンパク質との結合を阻害する低分子経口剤である。MLL遺伝子の再構成やNPM1遺伝子の変異を有する急性骨髄性白血病では、メニンとMLLの結合による、造血幹細胞の維持に必要となる遺伝子の異常発現が認められ、急性骨髄性白血病の発症・維持に関連しているといわれている。本剤は、非臨床試験において、メニンとMLLの結合を阻害することにより、それらの遺伝子の発現減少を介した抗腫瘍作用が示されている。本剤は、2022年6月に急性骨髄性白血病の適応でFDAからオーファンドラッグ指定を、2024年6月にMLL遺伝子の再構成またはNPM1遺伝子の変異を有する再発または難治性の急性骨髄性白血病の適応でFDAからファストトラック指定を受けている。また、2024年9月に再発または難治性のMLL遺伝子再構成陽性またはNPM1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病の適応で厚生労働省から希少疾病用医薬品指定を受けている。
DSP-0390
起源 | 自社 |
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剤形 | 経口剤 |
開発段階 |
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本剤はコレステロール生合成酵素の一種であるEBP(Emopamil Binding Protein)阻害剤である。EBPは、コレステロール生合成に関与する小胞体膜タンパク質である。EBPは細胞膜構造やシグナル伝達に重要なコレステロール生合成を調節しており、腫瘍の異常増殖に関わっている。EBPの阻害によってコレステロールを枯渇させ、抗腫瘍作用を示すことが期待される。本剤は、2022年5月に脳腫瘍の適応でFDAからオーファンドラッグ指定を受けている。
SMP-3124
起源 | 自社 |
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剤形 | 注射剤(リポソームナノ粒子製剤) |
開発段階 |
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本剤はCHK1(Checkpoint kinase 1)阻害剤をリポソームに封入した注射剤である。CHK1はDNA損傷応答によって活性化され、細胞周期を停止し、DNA修復を誘導するセリン/スレオニンキナーゼである。CHK1阻害は高い複製ストレスを有するがん細胞に対し更なるDNA損傷をもたらし、細胞死を誘導する。本剤はリポソームナノ粒子製剤化によって薬剤の体内動態を変化させ、薬効を増強し副作用を低減することが期待される。
その他領域
KSP-1007
起源 | 自社(北里研究所との共同研究) |
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剤形 | 注射剤 |
開発段階 |
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本剤は、カルバペネム系抗菌薬を分解する細菌由来の酵素であるβ-ラクタマーゼを広域かつ強力に阻害する作用を有している。本剤は世界的に汎用されているカルバペネム系抗生物質製剤メロペネム水和物(当社の日本での製品名「メロペン®」)との配合剤とすることにより、カルバペネム耐性菌による感染症に対しても有効な治療選択肢となることが期待されている。本剤は、2022年8月に細菌性の複雑性尿路感染症、複雑性腹腔内感染症、人工呼吸器関連肺炎を含む院内肺炎の適応でFDAから適格感染症治療製品およびファストトラック指定を受けている。
fH1/DSP-0546LP
起源 | 自社(医薬基盤・健康・栄養研究所との共同研究) |
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剤形 | 注射剤 |
開発段階 |
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本剤は、幅広いインフルエンザウイルスに対する効果が期待される膜融合型ヘマグルチニン抗原(fH1)と、免疫応答の量、質および持続性を高めるTLR7アジュバント(DSP-0546LP)を組み合わせた次世代型ワクチンである。従来のインフルエンザワクチンは、ウイルスの抗原変異により効力を失うため、毎年流行株にあったワクチン株の選定・製造・接種が必要であり、新型インフルエンザに迅速に対応することは困難である。本剤は、種類の異なるインフルエンザへの幅広い防御効果が非臨床研究で確認されており、その効果にはTLR7アジュバントの添加が重要であることが示唆されている。本剤は、季節性インフルエンザウイルスだけではなく、パンデミックに発展する可能性のある新型インフルエンザウイルスにも効果を示すことが期待されている。