Pollution Prevention 汚染防止
大気汚染・水質汚濁・土壌汚染の防止
当社は、中長期環境目標において「法令遵守・環境事故防止」を基盤課題の一つに位置付けています。医薬品の製造および研究開発では化学物質を使用していることから、環境および人の健康への影響を未然に防ぐことを重要な責務と捉え、汚染防止に努めています。
当社は、大気汚染防止法および水質汚濁防止法等に基づき、排ガスおよび排出水の水質を定期的に測定するとともに、法定施設について適切な届出を行っています。また、有害物質による汚染を未然に防止するための施策を講じ、排出水のpHなどの常時モニタリングによって継続的に監視しています。生産および一部の研究拠点からの排水に関しては、水質汚濁防止法排水基準値を上回る厳格な自主基準を設定し、適切な管理を行っています。
当社敷地内の生産および研究拠点である鈴鹿工場および総合研究所においては、複数の観測井を設置し、定期的に地下水をモニタリングしています。土壌汚染対策法および条例に基づく調査が必要となった場合は、法令に則って適切に調査を実施し、その調査結果に応じた対応を行政と協議の上で適切に進めています。
環境事故への備えとして、当社では社則「緊急時対応規程」に基づき、発生時の全社的な対応方針を定めています。各事業所においても具体的な対応手順を定め、万が一の事態に際しては影響を最小限に抑えるための措置を講じています。
また、発生事象については原因を調査し、必要に応じて是正措置および再発防止措置を講じるとともに、その有効性を確認するための手順を整備しています。
大気排出
コージェネレーションシステムやボイラーからの排ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)およびばいじんの排出量を測定しています。2025年度に鈴鹿工場のコージェネレーションシステムの運転を終了したことに伴い、これらの排出量は大きく減少しました。
NOx排出量
SOxおよびばいじん排出量
水域排出
水環境への負荷の大きさを排水中のBOD(生物化学的酸素要求量)およびCOD(化学的酸素要求量)として把握しています。
BODおよびCOD負荷量
化学物質の排出削減の取組
当社の使用している化学物質で取扱量が多いのは、トルエン、メチルアルコール、アセトンなどです。これらの化学物質は主に溶媒として使用され、そのほとんどは最終的に廃油などの廃棄物として適切に処理されています。取扱量の削減に努めるとともに、ジクロロメタンなどの揮発しやすい溶媒については、回収装置を設置するなどの対策を進め、環境中への排出抑制に取り組んでいます。
当社は、2025年度実績でPRTR※1制度の届出対象となる全事業所において、適切に届出を行いました。
化学物質排出関連指標の推移
PRTR対象物質取扱量・排出量※3
VOC※2 取扱量・排出量※3
- ※1PRTR(Pollutant Release and Transfer Register):化学物質排出移動量届出
- ※2VOC(Volatile Organic Compounds):揮発性有機化合物
- ※3大気および公共用水域への排出量。土壌への排出はなし。
- ※42025年度は一部のVOC排出量について算定方法を見直したため、排出量にはその影響を含む。
算定基準の詳細は「ESGデータ一覧」をご覧ください。
医薬品の環境影響評価
医薬品有効成分が環境中に排出されると、その生物学的活性が非標的生物に直接悪影響を及ぼし、生態系の健全性や回復力に影響を及ぼす可能性があります。環境への医薬品の排出源の一つに、医薬品製造プロセスからの直接排出が含まれます※5。
また、抗菌薬が環境中に排出されることにより、薬剤耐性(AMR)の発生や拡大につながる可能性が指摘されています。国連は、英国のオニール・レビューの推計を踏まえ、AMRへの対策が不十分なまま耐性率の上昇が続いた場合、2050年には年間1,000万人が死亡する可能性があると警鐘を鳴らしています※6。抗菌薬の製造プロセス由来の排水や廃棄物として環境に排出した抗生物質が薬剤耐性を引き起こした場合に、広範な感染症の発生の可能性があります。
当社の原薬工場では、抗生物質の環境中への排出を低減するため、排水中の抗生物質の中和(分解)処理や排水処理場における活性汚泥処理、高濃度の設備洗浄水の一部の焼却処理、廃棄処分前の固形廃棄物の除染処理(次亜塩素酸ナトリウム溶液の噴霧による不活化)などを実施しています。また、工場排水中の予測環境濃度(PEC)が予測無影響濃度(PNEC-MIC※7 および PNEC-ENV※8)未満であることを、社内の定期的な自主監査で確認しています。
当社は、TNFD提言に基づく自然関連課題の評価において、「汚染(影響)」を重要課題の一つとして特定しています。今後も医薬品や化学物質による環境への影響低減の取組を進め、自然関連課題への対応を継続していきます。
詳細は「生物多様性への取組」をご覧ください。
- ※5 Pharmaceuticals in the Environment | UNEP - UN Environment Programme
- ※6New report calls for urgent action to avert antimicrobial resistance crisis
- ※7PNEC-MIC:微生物に対する最小発育阻止濃度(MIC)データに基づき算出された無影響濃度
- ※8PNEC-ENV:環境中の生物(魚類・無脊椎動物・藻類)への毒性試験データに基づき算出された無影響濃度
※7、※8PNEC table:https://www.amrindustryalliance.org/2026-changes-to-the-pnec
騒音・振動・悪臭防止
騒音・振動・悪臭防止に関する法令等に則り、適切な対策と継続的なモニタリングを実施しています。
PCBの適正処理
PCB特別措置法に基づき、保有していたすべてのポリ塩化ビフェニル(PCB)使用製品およびPCB廃棄物の適正処理を完了しています。