2024年07月22日 グローバルヘルス

【ベトナムにおける薬剤耐性(AMR)対策と抗菌薬適正使用に貢献】

近年、薬剤耐性の問題は「サイレント・パンデミック」とも呼ばれ、国際的に取り組むべき社会課題として認識されています。その社会課題に対する当社の取組をご紹介します。

ベトナムにおける薬剤耐性の課題

保健システムの不備や抗菌薬の不適切な使用などを背景に、薬剤耐性菌が世界的に増加しており、国際社会で大きな課題となっています。本来であれば抗菌薬治療で救えるはずの患者さんが、薬剤耐性を獲得した病原細菌の感染が原因で命を落とすケースが世界で増え続けています。 特にベトナムは、アジアの中で最も薬剤耐性菌の問題が深刻な国の一つとして知られ、近年その改善が喫緊の課題とされています。その環境的な要因として、先進国と比べ医療関係者の人数や病院設備が十分でなく、感染症治療において検査結果に基づいた適切な抗菌薬の選択・使用が難しいことが挙げられます。また、逼迫する医療現場への対処としてセルフメディケーションが推奨されてきた歴史から、医師の処方箋や専門的な指示が無くとも市中薬局で自由に抗菌薬を購入使用できるため、病院外の市中環境において抗菌薬の不適切な使用が容認されてきたという社会的要因もあります。

当社グループの取組

研究に参加くださった先生方と当社グループ関係者の集合写真

研究に参加くださった先生方と当社グループ関係者の集合写真

当社グループは、このようなベトナムにおける薬剤耐性菌問題の実情を踏まえ、グローバルヘルスへの取組の一環として薬剤感受性サーベイランス研究を2019年から2回にわたって実施してきました。この研究結果を活用して耐性菌の問題を顕在化し、治療現場でより適した抗菌薬が選択・使用されるよう促すことは、ベトナムの患者さんに有効性と経済性の両面で有益な医療処置で救命・回復をもたらすことにつながります。加えて、耐性菌の増加抑制によって、当社のカルバペネム系抗生物質製剤である「MERONEM」(一般名:メロペネム水和物)を含めた既存抗菌薬が将来にわたって治療現場での効果を維持・発揮し続けられることが期待できます。 2024年3月に第2回となる薬剤感受性サーベイランス研究が完了したことを受け、2024年5月にベトナムのハノイで完了セレモニーを開催する運びとなりました。

研究完了セレモニーの開催

本研究を主幹した当社執行役員の上月の挨拶の様子

本研究完了を受けて開催したセレモニーでは、60名を超える方々のご参加により、研究の成功裏の完遂を祝いました。本研究に参加した計11病院の関係者、在ベトナム日本国大使館、ベトナム政府機関、現地アカデミア、国立国際医療研究センター(NCGM)をはじめとする日越の共同研究支援機関、当社関係者、現地で当社の「MERONEM」を供給しているスミトモファーマ・アジア・パシフィック社とZuellig Pharma社の関係者など多くの方をお招きしました。

本研究主幹部門の担当執行役員の上月から、研究に参加してくださった医療関係者の方々と現地関係者の方々に感謝と敬意を表しました。 参列いただいたご来賓の皆様によるスピーチでは、当社グループによる高品質な抗菌薬の安定供給や継続的なサーベイランス研究実施への感謝が示され、今後の研究データの積極活用によるベトナムの感染症治療の向上への期待も寄せられました。 ベトナム保健省の傘下機関として現地の薬剤耐性菌問題への対処を主導しているNational Drug Information and Adverse Drug Reactions Monitoring Centreの方々からは、本研究がベトナムの薬剤耐性(AMR)対策に多大な貢献をもたらし得ること、現地の病院施設が今後この研究で得られた成果を日々の臨床に有効活用していくことが大いに期待されると強調され、セレモニーは幕を閉じました。

当日の会場の様子
当日の会場の様子
当日の会場の様子
当日の会場の様子

当社グループによるこれからの薬剤耐性(AMR)対策の取組

ご来賓・現地関係者などセレモニー参加者の集合写真

ご来賓・現地関係者などセレモニー参加者の集合写真

当社グループが抗菌薬事業を展開するアジア各国では、現地の政府や医療機関の間でより適切な抗菌薬処方設計のノウハウの普及への高いニーズがあります。各国の医療への幅広い貢献につながる本活動は、当社製品に限定されない多くの抗菌薬の適正使用を促すことで現地の医療レベル向上に資するのみならず、当社グループの信頼やプレゼンスを高めることにもつながると考えています。私たちは、これからもベトナムをはじめ世界の人々の健康で豊かな生活への貢献を目指し、種々の活動に取り組んでいきます。

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グローバルヘルス活動

当社は、私たちの資本(強み)を活用して取り組むマテリアルイシュー(重要課題)に「医薬品アクセスとアドボカシーの強化」を設定し、「業界、政府、NPOやNGOなどと協働し、 医療人材育成、市民啓発、政策提言などを通じて、必要な医療を平等に受けることが困難な国・地域の保健システムの向上に貢献する」という目標を掲げ、課題解決に取り組んでいます。


当社のグローバルヘルスへの貢献については、以下のページをご覧ください。


本研究の詳しい内容は、以下のお知らせをご覧ください。