2024年12月26日 患者さんとともに

【住友ファーマグループの従業員が大切にしている価値観「Patient First」から生まれたワーキンググループとその活動を紹介】

住友ファーマグループは、「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」を理念として掲げ、事業活動を進めています。また、私たちが大切に持ち続けている価値観であるバリューの一つに「Patient First」を掲げることで、Patientの多様な健やかさを何よりも大切にする価値観を明確にしています。
本ページではこの「Patient First」の価値観を持った開発本部(現 R&D本部)の従業員が立ち上げたワーキンググループ「P-Voice」とその活動について紹介します。

P-Voiceとは

P-Voiceメンバーの写真

「P-Voice」とは住友ファーマの開発本部の従業員が有志で立ち上げた、患者視点に立った医薬品開発を考えるワーキンググループのことです。本グループ立ち上げに至った背景をはじめにご紹介します。 P-Voiceが発足したのは2020年のことです。当時、欧米で患者中心(Patient Centricity)といった考え方に基づく医薬品開発の活動が先行しており、日本の製薬業界でもこの考え方が浸透しつつありました。
そのような折に、医薬品開発の実務に日々携わっているメンバーが「もっと患者さんの声を聞き、医薬品開発にその声を取り入れていきたい」という想いで自ら手を挙げ、P-Voiceが発足しました。 世の中の動向や自分たちが実際に携わっている医薬品開発を目の前にして、“私たちだからこそ患者さんとともにできることは何か”について何度も話し合いを重ね、臨床試験に患者さんの視点を取り入れる取組や、私たち自身が患者中心の意識を高める取組を精力的に行ってきました。現在では、患者さんと「ともに」をより意識した「患者・市民とともに、または患者・市民によって研究が行われること」を意味する患者・市民参画(Patient and Public Involvement:PPI)という考え方に基づいて取り組んでいます。

主な取組

患者さんとともに医薬品開発を! ~患者さんにご理解いただきやすい治験の説明とは~

会議中の様子

私たちは患者さん向けの臨床試験(治験)の内容を説明する「同意説明文書」の見直しに取り組むことにしました。「同意説明文書」とは、医師が、治験の内容を参加対象となる患者さんに説明する際に用いる文書です。この同意説明文書を作成する際に基となる文書案(=テンプレート)を医師にご提供することで、製薬会社である私たちも協力しています。 患者さんが治験をより理解しやすくするため、従来のテンプレートを患者さん目線で見直しました。治験に詳しくない従業員のご家族、普段の業務では「同意説明文書」に直接的に関与していない従業員、実際の患者さん数名にもご協力いただき、ご自身が治験の説明を受ける立場になったつもりで「同意説明文書」を読み、感じたことを具体的に挙げていただきました。その数なんと約300個!! コメントを一つ一つ丁寧に確認して、患者さんにより分かりやすく改善したテンプレートを作り上げました。冗長な表現や、上から目線に感じる表現があったり、製薬会社に勤める私たちには馴染みがあっても患者さんにとっては分からない検査の名称が当然のように記載されていたり、欲しい情報が見つけにくい、など、いずれもはっとさせられるコメントばかりでした。 患者さんにとって理解しやすい同意説明文書にすることで、患者さんから同意を得られやすくなり、治験の意義をしっかりとご理解いただくことにより治験の終了まで継続いただきやすくなることを期待しています。

P-Voice社内講演会開催 ~がん経験者の方の声をヒントに考える

講演会会場の様子

NPO法人がんノート様にご協力いただき、臨床試験(治験)に参加または参加を検討されたことのあるがん経験者の方をお招きした講演会を開催しました。 本講演会は、患者さんの視点で考えるきっかけとすること、医薬品の研究開発や製薬会社に対する患者さんの想いを知り、私たちに何ができるかを考え実践していくことを目的としました。対面とオンラインを併用したハイブリッド開催で、開発本部とPPIに関連する他部門の関係者が参加しました。それぞれのがん経験者の方から、診断を受けてから治療に至る経緯、ご自身のお気持ちの変化、現在の生活の様子をありのままお聞かせいただきました。さらに、社員からの多数の質問にも率直に回答いただきました。双方向のコミュニケーションを通じて患者さんの経験や想いへの理解を深めたことで、改めて私たち製薬会社の使命を強く意識する機会となりました。

社内研修会を開催 ~一人一人が自分事として捉え、PPI活動をこれからも実践し続ける~

当日の会場の様子

本研修会は社内や他社のPPI活動の具体的な取り組み内容を知ることで、自分たちでできるPPI活動を知り、考えるきっかけを得ること、自ら考えたPPI活動をより一層自分事として捉えて実践することを目的として開催し、開発本部とPPIに関連する部門の関係者が、東京本社会場とオンラインで参加しました。開発本部では、がんノート様の講演会の後、各グループでPPI活動を立案し、約半年間取り組んできた活動内容の紹介と進捗報告をしました。また、他の製薬会社でPPI活動を先導されている担当者をお招きし、各社の取組をご紹介いただきました。
本研修会で開発本部内の他のグループや他社のPPI活動を知ったことで、研修会参加者のPPI活動の意義の理解と意識の向上が進み、自分たちが今後実践できるPPI活動のヒントを得ることができました。今後もP-Voiceでは、開発本部員一人一人がPPI活動を自分事として考え、実行できるような取組を継続していきます。

住友ファーマが目指す姿

私たちが提供する価値が人々の健康で豊かな生活のために最大のものとなるためには、患者さん・患者団体等やそのご家族・支援者の声を聞き、その声を医薬品等の研究、開発、生産・品質管理、販売、信頼性保証、メディカルサイエンス等の活動に生かすことが重要であると考えています。また、患者さんやそのご家族を取り巻く環境等の社会課題にも目を向け、課題解決のために社会に働きかけ、人々の健康で豊かな生活に寄り添った医療へ貢献します。 「Patient First」を全社一丸となりさらに推進していくために、2023年に、患者さんとの協働に関係する部門から「Patient Firstアンバサダー」を選出し、全社横断の会議体を発足しました。本会議体では、患者さんと協働する際の心構え、留意点や手順等、全社で認識を統一するためのガイダンスを策定し、社内イントラネットの「患者・患者団体等との協働」サイトに掲載して従業員に周知しています。
これからも患者さんとの信頼関係を築きながら、より良い医療の提供に貢献することを目指します。

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バリューの一つ「Patient First」に込めた想い

当社グループは、革新的な医薬品や医療ソリューション等の新たな価値の創造のためには、Patient Firstの視点が重要であると考えています。 新たな価値の創造に加え、患者さんのニーズに応える質の高い情報提供や、疾患啓発、アドボカシー活動等を通じた社会全体の疾患に対する更なるリテラシーの向上等にも積極的に取り組み、患者さんのより健康で豊かな生活の実現に貢献します。


私たちが大切にしている価値観であるフィロソフィについて、以下のページでご紹介しています。