Patient Support and Advocacy 患者支援とアドボカシー

患者さんとご家族、社会の疾患に関するさらなるリテラシーの向上

住友ファーマグループは、バリューの一つに「Patient First」を掲げ、患者さんの多様な健やかさを何よりも大切にする価値観を明確にし、事業活動を進めています。革新的な医薬品や医療ソリューション等の新たな価値の創造に加え、患者さんのニーズに応える質の高い情報提供や、疾患啓発、アドボカシー活動等を通じた社会全体の疾患に対するさらなるリテラシーの向上等に積極的に取り組んでいます。

市民公開講座の開催

市民公開講座

当社は、患者さんおよびそのご家族のみならず、広く一般の方を対象に、疾患についての正しい理解促進と社会課題解決への貢献を目的に全国で市民公開講座を開催しています。
当社のマテリアルイシューでは、「医療アクセスとアドボカシーの強化」として、患者さん視点での疾患啓発により、疾患に関するスティグマ(正しく理解されていないために生じる「偏見」)の解消や早期治療の促進等につなげることを目標にしています。「患者さんを含めた一般の方のヘルスリテラシーのさらなる向上」をKPIとし、2023年度から2027年度までの累計市民公開講座聴講者数10,000人をKPI目標として設定しています。

2024年度は「iPS細胞」をテーマにオンライン市民公開講座を開催し、医療応用例や将来の展望について紹介しました。
また、双極症(双極性障害)への理解を広げるため、「うつ状態を引き起こすもう1つの病気-知っていますか?双極症-」をテーマにオンライン市民公開講座を開催しました。専門医による診断・治療の解説に加え、双極症I型・II型の当事者やご家族との対談も行い、実体験に基づく情報を発信しました。講座の内容は、「こころ・シェア」やYouTubeの住友ファーマ公式チャンネルでアーカイブ動画として公開しています(下記リンクよりご視聴いただけます)。

 

世界双極症デー 市民公開講座「うつ状態を引き起こすもう1つの病気―知っていますか?双極症―」
セッション1 双極症の診断~うつ病と異なる双極症とは~(YouTubeへリンクします)

 

2024年度に実施した全講座の聴講者は約4,800名で、講座終了後の参加者アンケートでは回答者の90%以上から講座内容に肯定的な評価を得ました。このような取組を通じ、疾患に関するスティグマなど、疾患に関連する社会課題の解決に貢献していきます。

市民公開講座の開催案内については「市民公開講座」をご覧ください。

2024年度市民公開講座 参加者アンケート

本日の講演内容は聴きたかった内容に合致していましたか?
本日の講演内容の理解度はいかがでしたか?
本日の講演内容の満足度はいかがでしたか?
  • 全ての講座で同じアンケートを実施し、回答数を合計して算出。複数回答は不可。

 

 

 

担当者の想い

担当者

 

患者さん、そのご家族、介助者などを取り巻く環境にはさまざまな社会課題があります。
その一つに、疾患に対するスティグマがあります。例えば精神疾患は若い世代で発症することが多いですが、スティグマを恐れて受診を躊躇(ちゅうちょ)してしまう人もいます。当事者やそのご家族、また社会全体が精神疾患に関する正しい知識を身につけることで、精神疾患に対するスティグマを軽減させ、早期発見、早期相談・早期受診を躊躇しない環境を作ることが重要です。ダイアベティス(糖尿病)においてもスティグマが存在し、ダイアベティスであることを周囲に隠してしまうことで適切な治療機会の損失につながっている現状があります。
当社は製薬企業として、医薬品を届ける他にも社会課題解決の一助を担う必要があると考えています。疾患に対する正しい理解を促進することで、患者さんが安心して生活を送ることができる社会形成を目指していきます。

コーポレートガバナンス部 サステナビリティ推進グループ 大野 美咲 (所属部署は取材当時のものです)

 

 

健康情報サイトの運営

統合失調症と双極症を分かりやすく解説

こころ・シェア

「こころ・シェア(https://kokoro-share.jp)」は、精神疾患に対する偏見をなくし、統合失調症当事者のリカバリー/社会参加・就労および双極症の早期かつ適正な診断・治療に貢献することを目的にしています。当社は本サイトを通じて、正しい情報を分かりやすく提供し、患者さんとそのご家族のよりよい生活に貢献したいと考えています。双極症はうつ病と症状が似ているため、正しい診断までに時間がかかるという課題があります。2024年度はより多くの方に双極症を知っていただくためにこころ・シェアおよび当社の公式YouTubeチャンネルに双極症オンライン市民公開講座のアーカイブ動画を掲載しました。精神疾患に関する社会の理解を深め、偏見をなくし、正しい知識をより多くの方に届けるために、必要な情報をより一層役立ていただけるようアップデートしていきます。

2型糖尿病のライフスタイルにあった日常のケア

糖尿病マイケアノート

「糖尿病マイケアノート(https://www.sumitomo-pharma.co.jp/public/diabetes/)」では、2型糖尿病と診断された方に今日からできる日常のケアとして食事療法や運動療法を紹介しています。簡単にできることから、ちょっと準備が必要なものまで紹介していますので、ライフスタイルに合った継続しやすい食事・運動療法を日々の生活に取り入れて実践いただくことを期待しています。

料理をテーマにしたパーキンソン病のリハビリテーション

パーキンソン病患者さんのためのリハビリキッチン

「パーキンソン病患者さんのためのリハビリキッチン(https://www.sumitomo-pharma.co.jp/public/parkinson/kitchen/)」では、料理をしながら一つひとつの動きを意識することがパーキンソン病患者さんのリハビリに繋がることをコンセプトとし、自宅でもできる、料理をテーマにしたリハビリテーションについての動画を交えて紹介しています。患者さんご自身のできる動きを確認しながら、ご家族や介助者の方と一緒に料理をすることを通じて楽しい時間を共有し、健やかな毎日を過ごされることを期待しています。

患者団体等との協働と支援活動の推進

私たちは、患者さん・患者団体・ご家族・支援者の声を尊重し、その声を医薬品の研究・開発・品質管理・販売・メディカルサイエンスなどの活動に活かすことが、より良い医療の実現につながると考えています。また、患者さんを取り巻く社会課題にも目を向け、課題解決に向けた社会への働きかけを行っています。
住友ファーマが目指す姿は、「患者さんとともに」をご覧ください。

患者団体等との協働

精神疾患や希少疾患など、社会的な理解が十分ではない疾患について、患者さんの声をもとにしたコンテンツ制作や市民公開講座の開催を行っています。企画段階から患者さんの声を取り入れ、テーマ設定や内容に反映しています。

精神疾患をもつ方々の就労・社会復帰支援

精神疾患の領域では、疾患をもつ方々の就労定着率が低いという社会課題があります。当社は、精神疾患領域の創薬に注力するとともに、精神疾患をもつ方々の就労・社会復帰を支援する取組の一つとして、当社の特例子会社「株式会社ココワーク(https://www.cocoworkjoy.com/)」を設立しました。
「ココワーク」では精神疾患をもつ方々とともにフリルレタスやルッコラ、スイスチャードなどの葉物野菜を水耕栽培で育て、スーパーやレストランに販売しています。また、大阪・兵庫で人気の珈琲店ヒロコーヒーとのコラボもしています。
当社では今後も特例子会社「株式会社ココワ―ク」の取り組みを推進し、精神疾患をもつ方々の就労支援に取り組んでいきます。

ココワーク従業員1
ココワーク従業員2
ココワーク従業員3

「ココワ―ク」での収穫作業の様子

 

その他、国内外の患者支援活動については「活動報告」をご覧ください。

患者団体との適切な関係性

私たちの提供する価値を人々の健康で豊かな生活のために最大化するためには、患者さん・患者団体等やそのご家族・支援者の声を聞き、その声を研究、開発、生産・品質管理、販売、信頼性保証、メディカルアフェアーズ等の活動に生かすことが重要であると考えています。
近年、行政や医療分野においても「患者さんの声」をより重視するようになり、行政の委員会や検討会に、患者団体の代表が委員として参画する機会も増えています。私たちは、患者団体をより良い医療の実現に向けて共に取り組む重要なパートナーと考えています。

このような状況において、患者団体との連携活動が高い倫理性と相互理解を担保したうえで行われていることを広く社会に周知し、ご理解頂くことは重要であると考えます。
日本製薬工業協会では、「企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン」、「患者団体との協働に関するガイドライン」を策定しました。当社においても、「患者団体等との連携における透明性に関する指針」、「患者団体等との協働に関する指針」を制定しました。当該指針に従い、患者団体等との積極的かつ継続的な協働を行い、患者団体・支援団体に対する支払い等の情報を、当社ウェブサイトを通じて公開します。