Contributing to Building a Low-carbon Society 低炭素社会構築への貢献

省エネおよび二酸化炭素の排出量削減の取組

当社は「2050年度までに温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1+2)をゼロにする」ことを目指し、今後進展が期待される省エネ・CO2削減技術や普及・拡大が見込まれる再生可能エネルギーを積極的に採用して脱化石燃料化を図ります。

2023年度からは、Scope1+2だけでなくScope3についても目標を設定し、SBTイニチアチブによる認定を取得しました※1
Scope1+2の目標達成に向けては、引き続き、再生可能エネルギー由来電力などの非化石エネルギーの導入を進めるとともに、CO2削減の費用対効果(円/t-CO2)や投資回収期間などを考慮の上、照明のLED化やエネルギー効率のより良い設備の導入など省エネ・CO2削減に資する設備投資を計画的に進めていきます。大分工場(2021年11月~)※2、鈴鹿工場(2022年4月~)※3に続いて2024年4月から、東京本社で購入する電力を100%実質再生可能エネルギー由来電力※4に切り替えました。一方、Scope3についてはサプライヤーとの協働を通じて目標達成を目指すべく、積極的にコミュニケーションを図っていきます。

また、当社は、日本政府のカーボンニュートラル宣言をはじめとするあらゆる温暖化防止政策および国の省エネルギーおよび気候変動に関する法律等を支持しています。また、エネルギーの使用の合理化および非化石エネルギーへの転換等に関する法律、地球温暖化対策の推進に関する法律および気候変動適応法を遵守し、エネルギー使用量などに関する行政への定期報告を適切に実施しています。さらに、政府が推進する「デコ活 ※5」に賛同して、2024年1月に「デコ活」宣言し、デコ活のロゴマークに加えてSDGsの目標7や目標13のアイコンも活用して、役員・従業員の意識啓発を進めており、一人ひとりが高い意識をもって、空調温度管理の徹底、衣服調整による空調使用の低減、エコドライブなどの省エネ行動に地道に取り組んでいます。

デコ活、SDGs Goal 7 および 13のロゴマーク

CO2排出量(エネルギー起源)の推移

2023年度からの目標「2030年度までにGHG排出量(Scope1+2)を、2020年度比で42%削減する(連結ベース)」について、2023年度時点での推移を示しました。2023年度は約26%の削減を達成しています。

2020年度基準GHG排出量削減目標(連結)の推移
2020年度基準GHG排出量削減目標(連結)の推移

集計対象:住友ファーマ株式会社、国内連結子会社、海外連結子会社
算定基準の詳細は「ESGデータ一覧」をご覧ください。

再生可能エネルギーの使用比率

2023年度は総エネルギー使用量の約13%を再生可能エネルギーが占めました。今後も計画的に再生可能エネルギーの導入を進め、導入比率を高めていきます。

再生可能エネルギーの使用比率
再生可能エネルギーの使用比率

集計対象:住友ファーマ株式会社、国内連結子会社、海外連結子会社
算定基準の詳細は「ESGデータ一覧」をご覧ください。

太陽光発電システム

当社は、総合研究所と大阪研究所に太陽光発電システムを導入しており、両研究所における2023年度の発電量は140MWhとなりました。

太陽光発電量は研究所内のモニターに随時案内し、従業員の環境意識向上に役立てています。

総合研究所の研究棟屋上に設置中の太陽光発電システム

総合研究所の研究棟屋上に設置中の太陽光発電システム

太陽光発電量を研究所内のモニターに随時案内

太陽光発電量を研究所内のモニターに随時案内

非化石証書

ダイドードリンコ株式会社の自動販売機の稼働に要する電力消費に対してダイドードリンコ株式会社から当社に提供される非化石証書※6を活用することで、2023年度は約13tのCO2排出量を削減することができました。今後も、このようなビジネスパートナーとの協働の機会を大切にしていきます。

サプライチェーン排出量の把握

当社は、サプライチェーン全体でのCO2排出量の把握に努めています。Scope別のCO2排出量およびScope3におけるカテゴリ別のCO2排出量は下表のとおりです。Scope3排出量は2021年度から2023年度までで緩やかな減少傾向にあり、主な原因はカテゴリ1(購入した製品、サービス)によるCO2排出量の減少です。また、2021年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として出張の機会が減りましたが、2022年度以降はCOVID-19対策以前の状況に概ね戻りつつあり、カテゴリ6(出張)によるCO2排出量は2021年度と比べて大幅に増加しています。
2022年度に住友化学株式会社がCDPサプライチェーンプログラム※7に参画しました。当社は住友化学グループの一員として当該プログラムに則り、当社の主要なサプライヤーにGHG排出量の開示を要請し、Scope3カテゴリ1排出量の一次データ化※8に向けた取組を継続しています。また、バリューチェーン全体でサステナビリティを推進するため、ビジネスパートナーに期待する5つの重点項目を規定した「ビジネスパートナーのためのサステナブル行動指針」を制定し、2023年度からビジネスパートナーに対するサステナビリティ評価を開始しました。重点項目の一つである"環境"に関しては、GHG排出削減に関する自主的な目標の設定に努め削減施策を進めることをビジネスパートナーに求めています。CDPサプライチェーンプログラムやビジネスパートナーとの協働を通じて「2030年度までにGHG排出量(Scope3、カテゴリ1)を2020年度比で25%削減する(連結ベース)」というScope3削減目標の達成に向けて取り組んでいきます。

ビジネスパートナーに対するサステナビリティ評価については「ビジネスパートナーのためのサステナブル行動指針」および「コミュニケーションの推進」をご覧ください。

  • ※7CDPサプライチェーンプログラム(右リンクの「CDPサプライチェーン」を参照のこと):https://japan.cdp.net/program
  • ※8一次データ化:環境省DBの排出原単位などの原単位データベースを用いずに、取引先などから直接入手したデータを用いて排出量算定を行うこと。

Scope別CO2排出量

Scope 内容 2021年度
排出量
(t-CO2
2022年度
排出量
(t-CO2
2023年度
排出量
(t-CO2
対象
Scope1 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセスの排出) 21,398 27,829 27,093 CO2排出量(エネルギー起源)の推移グラフに記載
Scope2 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出 40,351 26,518 26,827
Scope3 Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出) 382,293 366,620 356,214 下表に記載

カテゴリ別CO2排出量(Scope3)

カテゴリ 2021年度
排出量
(t-CO2
2022年度
排出量
(t-CO2
2023年度
排出量
(t-CO2
算定方法・
排出原単位など
対象
1 購入した製品・サービス 332,970 310,925 305,002 製品の原材料および包装材料、仕入商品の購入金額や製造委託費用に環境省DBの排出原単位を乗じて算出 当社単体
2 資本財 19,015 24,134 18,623 固定資産の取得金額に環境省DBの排出原単位を乗じて算出 海外を含む当社グループ(連結)
3 Scope1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 15,643 15,048 15,017 購入した電気・蒸気については環境省DBを、購入した燃料については、LCI-DBの排出原単位を乗じて算出 当社単体
4 輸送、配送(上流) 824 853 820 輸送シナリオのトンキロに環境省DB、LCI-DBの排出原単位を乗じて算出 当社単体の国内輸送
5 事業から出る廃棄物 4,466 3,655 4,563 廃棄物の種類別・処理方法別の排出量に環境省DBの排出原単位を乗じて算出 当社単体の工場・研究所・物流センター
6 出張 886 3,140 3,375 出張交通費支給額に環境省DBの排出原単位を乗じて算出 当社単体
7 雇用者の通勤 651 634 690 交通手段別の通勤交通費支給額に環境省DBの排出原単位を乗じて算出 当社単体
8 リース資産(上流) 非該当 非該当 非該当
9 輸送、配送(下流) 3,344 5,305 4,184 主要な医薬品卸の売上高あたりのCO2排出量(推定値)に当社製品の医薬品卸における売上高を乗じて算出 当社単体
10 販売した製品の加工 非該当 非該当 非該当
11 販売した製品の使用 4,065 2,521 3,554 販売した医薬品のMDI(定量噴霧式吸入器)に充填されているHFC量にGWPを乗じて算出 当社単体
12 販売した製品の廃棄 323 302 250 容器包装リサイクル法における材料別の容器包装重量に環境省DBの排出原単位を乗じて算出 当社単体
13 リース資産(下流) 106 103 136 賃貸している保有資産(建物)のエネルギー使用量から「地球温暖化対策の推進に関する法律」の「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」に基づく各種係数を使用して算出 当社単体
14 フランチャイズ 非該当 非該当 非該当
15 投資 非該当 非該当 非該当

環境省DB(2021年度排出量にVer.3.2適用、2022年度排出量にVer.3.3適用、2023年度排出量にVer.3.4適用):環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」
LCI-DB:LCIデータベースIDEAv2(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)

  • (注) カテゴリ1(購入した製品・サービス)およびカテゴリ2(資本財)について、環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」(ver3.3)において、当該原単位には消費税が含まれることが明記されたため、2022年度以降の数値は消費税を考慮して算定しています。2021年度については消費税を考慮していませんが、影響が軽微なため修正していません。
    カテゴリ9(輸送、配送(下流))について、医薬品卸の2023年度CO2排出量が公開されていないため、2023年度CO2排出量の算定では2022年度の医薬品卸CO2排出量を使用しています。医薬品卸の売上高および当社製品の医薬品卸における売上高は2023年度売上高を使用しています。

SBT(Science-based targets)

当社のSBTは以下の通りです。

  • 2030年度までにGHG排出量(Scope1+2)を、2020年度比で42%削減する(1.5℃水準)
  • 2030年度までにGHG排出量(Scope3; 購入した製品・サービスに基づく排出量)を、2020年度比で25%削減する(Well below 2℃水準)

Scope1+2目標については2020年度比26%削減と順調に進捗しています。Scope3目標については、販売する製品の構成が大きく変化したため、二次データに基づく算出方法では、約21%の増加となりました。なお、単体の排出量は2020年度比6%削減となっています。
今後は、GHG排出量の削減に向けて積極的にサプライヤーとの協働に取り組み、より実態の排出量に近い一次データ化を推進していきます。

パートナーシップ活動

日本製薬団体連合会への参画

当社は日本製薬団体連合会(日薬連)の加盟団体である日本製薬工業協会(製薬協)の会員として、日薬連の活動に参画しています。日薬連は日本経済団体連合会(経団連)の会員であり、経団連は日本政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」を支持し、その実現に向けて政府とともに取り組む決意を表明して、「カーボンニュートラル行動計画」を策定しました。この行動計画に基づき、日薬連は医薬品業界のカーボンニュートラル行動計画の長期ビジョンを「2050年CO2排出量ネットゼロ」とし、フェーズⅡ目標「CO2排出量を2030年度に2013年度比で、46%削減(研究所・工場・オフィス・営業車両)」を策定して、CO2排出量の削減を推進しています。当社もこの行動計画に参画し、行動計画の進捗に向けて積極的に取り組んでいます。

また、日薬連は日本政府の方針に基づき、GHGであるフロン類の排出抑制にも取り組んでおり、専門部会として「フロン検討部会」を設置しています。本部会は、数値目標を含む自主行動計画を策定して、定量噴霧エアゾール剤に用いる代替フロン(HFC)の排出抑制に向けて活動するとともに、経済産業省の産業構造審議会への定期報告等を行い、政策実行を支援しています。当社はHFC-134aを噴霧剤として用いる吸入ステロイド喘息治療剤「キュバール®」を輸入および販売しているため、本部会に参画し、代替フロンの削減に取り組むとともに規制当局との連携を図っています。

気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)への参加

気候変動イニシアティブ(JCI)は、日本において気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、NGOなどが情報発信や意見交換を強化して脱炭素社会の実現を目指すネットワークです。当社は、JCIの"脱炭素化をめざす世界の最前線に日本から参加する"との宣言に賛同し、2018年10月から参加しています。JCIはメッセージの公表と政府への書簡送付によって気候変動対策の強化等を求めています。当社はこれまで、以下のJCIメッセージに賛同しています。

  • 2019年5月16日発出:日本の脱炭素リーダーシップを世界に示す長期戦略を※9
  • 2021年4月19日発出:パリ協定を実現する野心的な2030年目標を日本政府に求めるJCIメッセージ※10
  • 2022年6月3日発出:いまこそ再生可能エネルギーの導入加速を-エネルギー危機の中でも気候変動対策の強化を求める-※11
  • 2023年4月12日発出:再生可能エネルギーとカーボンプライシングで二つの危機を打開する※12
  • 2024年7月8日発出:1.5度目標と整合する野心的な2035年目標を日本政府に求める※13