Biodiversity 生物多様性への取組
当社は、事業活動が生物多様性の恩恵を深く享受し、事業活動に伴う環境負荷が生物多様性に様々な影響を与え得ることを認識しています。特に、医薬品製造をはじめとする当社の事業活動に不可欠な水資源に着目し、2017年度から継続して水使用量の削減に取り組んできました。水の使用量削減は、取水源の保護につながり、間接的に生物多様性の保全に資する活動と考えています。現在は、中長期環境目標に「2030年度までに水使用量を2018年度比で12%削減する」を掲げ、取組を推進しています。また、近年、気候変動が生物多様性に与える影響が懸念されるようになっています。当社は、2021年5月に「2050年度までに温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1+2)をゼロにすることを目指す」と宣言し、GHG排出量の削減に取り組んでいます。
その他、廃棄物の3R(リデュース・リユース・リサイクル)の促進および化学物質の管理の推進などによる環境保全を通じて、生物多様性の保全とその持続可能な利用に取り組みます。なお、環境会計における環境保全効果として主要な環境負荷量を前年度と比較し、生物多様性に影響を与え得る要因が発生していないことを確認しています。
生物多様性の保全やその持続可能な利用には、一人ひとりの意識向上や長期的な取組が重要です。当社では、「生物多様性に資する地域活動への積極的な参加」を目標に掲げ、多様な組織や団体と連携して環境保全活動などの社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。
更に、創薬研究における遺伝子組換え実験にあたっては、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」を遵守し、安全管理を徹底しています。
上記の取組方針および目標は、「自然共生社会の構築を通じた持続可能な社会の実現」を目指す「経団連生物多様性宣言・行動指針(改定版)」の理念と合致しており、当社はこれに賛同しています。
環境会計における環境保全効果については「環境目標およびパフォーマンス」をご覧ください。
組換えDNA実験安全管理規約や遺伝子組換え施設の安全性に関する情報については「創薬研究/製品開発研究」をご覧ください。
「経団連生物多様性宣言・行動指針(改定版)」の内容および賛同企業・団体については、日本経済団体連合会のウェブサイト「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」をご覧ください。
「住友ファーマの森」における「フクロウの森保全プロジェクト」
現在の日本では、森林の維持管理の担い手が不足し、環境保全機能の衰えが指摘されています。とくに竹林の拡大による森林の荒廃は深刻であり、生物多様性の保全に大きな影響を与えていることから、持続可能な森林の保全体制として、行政・企業・地域が協働して再生に取り組む重要性が叫ばれています。
当社は、2015年10月から2020年9月まで、大阪府の「アドプトフォレスト制度(森林養子縁組制度)」を利用し、地域の特定非営利活動法人「神於山保全くらぶ」とともに、岸和田市が推進する環境保全活動である「フクロウの森再生プロジェクト」に参画しました。
当社は、岸和田市三ヶ山町にある0.45ヘクタールの里山林を「住友ファーマの森」として、この地域の生態系ピラミッドの頂点にあるフクロウが生息できる豊かな自然環境を再生・維持することを目的に、5カ年計画によって責任をもって良好な里山としての環境を形成することに努めました。その結果、住友ファーマの森や周辺の森の整備が進み、当社の森に近い場所に設置された巣箱にフクロウが戻り、生態系が戻ってきています。
当社はこの生態系を維持・改善するために、2020年10月から2023年9月まで継続して「フクロウの森保全プロジェクト」として同地域の環境保全活動に取り組みました。
これまでに従業員やその家族が参加した住友ファーマの森の保全活動の状況は、以下のとおりです。
年度 | 参加人数 |
---|---|
2022年度 | 54名 |
2021年度 | 13名※ |
2020年度 | 20名※ |
2019年度 | 128名 |
2018年度 | 127名 |
2017年度 | 187名 |
2016年度 | 166名 |
2015年度 | 136名 |
※2020年度、2021年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため活動を自粛しました。
担当者の声
2015年10月から2023年9月まで8年間活動を継続してきました。開始当時の「住友ファーマの森」の状況からは大きく変化しました。竹林を伐採し、整備を継続したことで多種類の生き物や植物など出現し、近くの森にはフクロウが戻ってきました。本活動は一定の効果が認められたことから2023年9月で終了しましたが、生物多様性の取組の一つとして、フクロウが生息できる豊かな自然環境を再生・維持するという共通の目標を持って多くの従業員等が参画した非常に有意義な活動でした。
コーポレートコミュニケーション部 CSRグループ 増井 由美、 郡 真二郎 (所属部署は取材当時のものです)
国内外の環境保全の取組、地域とのコミュニケーション
当社およびグループ会社は、地域との関わりやコミュニケーションを重視し、事業所が所在する地域における定期的な植林をはじめとする森林保全活動や清掃活動に積極的に参加しています。従業員一人ひとりが、地域社会の一員であるということを認識し、事業所が所在する地域の皆さまとのふれあいを大切に、あらゆる機会を通じて、地域活動に参加し、地域社会の発展に寄与していくことを考えていきます。
また、研究開発・生産・物流・営業といった、当社の事業のあらゆる業務において環境に与える影響について、従業員が高い意識を持ち、各事業所において環境負荷の低減に積極的に取り組んでいます。
北米におけるサノビオン社(現スミトモファーマ・アメリカ社)の地域奉仕活動「Hands On!」では、2012年の活動開始以来、公園、森、庭園や運動場などの補修や改良に数多く取り組むとともに、野外でのさまざまな活動を楽しむ機会を地域の人々に提供してきました。「Hands On!」には米国、カナダで数百名のサノビオン社(現スミトモファーマ・アメリカ社および現スミトモファーマ・カナダ社)従業員が参加しており、地域貢献のため自らの時間を使ってボランティアを行っています。
米国では、非営利団体ユナイテッドウェイの「ボーン・ラーニング・トレイル」においてボランティア活動を行っています。ボーン・ラーニング・トレイルは、地元の子どもたちの遊び場に向かう遊歩道上に、遊び方を説明した標識や遊びの仕掛けを設置することで、そこを訪れる子どもたちや家族が遊びを楽しめるようにしたもので、サノビオン社(現スミトモファーマ・アメリカ社)の従業員は清掃や草刈り、標識の修理や塗装に参加しました。このほかサノビオン社(現スミトモファーマ・アメリカ社)では、ケープ・コッドやバークシャーなどマサチューセッツ州内50カ所の野生動物保護区から構成されるマス・オーデュボンでも活動を行っており、特にマールボロ事業所に近いプリンストンのワチューセット・メドー保護区でも活動を行っています。また、がん患者さんのQOL向上を目的とし、8エーカー(約3.2ヘクタール)の森林と庭園にある「バージニア・サーストン・ヒーリング・ガーデンがんサポートセンター」でもボランティア活動を行いました。
カナダでは、サノビオン社(現スミトモファーマ・カナダ社)のチームがYMCAシダーグレン・アウトドアセンター※1の改良を目的としたボランティア活動を行っています。同センターは263エーカー(約106.4ヘクタール)の敷地を有し、子どもから若者、大人までを対象とした野外体験教育プログラムを提供しています。サノビオン社(現スミトモファーマ・カナダ社)はこのほか、地方道周辺の森林や水系の環境回復に取り組んでいるオンタリオ・ストリームズ※2と協力し、動植物の生息地の回復や、絶滅に瀕する魚のため水路の改善の支援に取り組みました。
- ※1https://www.ymcagta.org/find-a-y/ymca-cedar-glen-outdoor-centre (英語サイトのみ)
- ※2https://www.ontariostreams.on.ca/ (英語サイトのみ)